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平日は仕事に追われ、運動できるのは週末だけ。座りっぱなしを避けようと、立って仕事をしている人も多いだろう。だが最新研究では、運動は毎日でなくても効果が期待できる一方、ただ立つだけでは十分ではないこともわかってきた。体力を伸ばすカギは、運動の回数や長さではなく、どんな刺激を生活の中に入れるかにある。忙しい人でも実践しやすい、体力づくりの新常識を3つ紹介する。
最新研究からわかった、体力の新常識
平日は仕事に追われ、運動できるのは週末だけ。日中は会議やデスクワークが続き、気づけば何時間も座っている。「これでは体力はつかない」と諦めたり、せめて座りっぱなしだけでも避けようと、立って仕事をしたりする人もいるだろう。
ところが、最近の研究を読むと、話はそれほど単純ではない。運動は必ずしも毎日行う必要はなく、わずか数分の取り組みでも心肺持久力が伸びる可能性がある。一方、座りっぱなしを立ちっぱなしに置き換えるだけでは、十分な解決にはならない。
体力づくりを左右するのは、「毎日できたか」「何分続けたか」だけではない。どの程度の刺激を、どのような形で生活の中に入れたか。その見方を変える、3つの話を紹介したい。
運動は、週末にまとめても無駄にならない
2024年、約9万人の活動量を調べた研究では、週150分以上の中高強度活動の半分以上を1~2日に集中させた「週末戦士」も、運動する日を週の複数日に分けた人も、週150分に満たない人に比べ、200種類を超える病気の発症リスクが低い関連を示した。2つの運動パターンに明らかな差はなかった(*1)。
観察研究なので因果関係は証明できないが、運動の恩恵は、週の何日に分けたかより、まず週全体でどれだけ動いたかに左右される可能性がある。平日に時間がなくても諦める必要はない。
ただし、普段ほとんど体を動かしていない人が、週末だけ急に長距離を走ったり、激しい球技をしたりすれば、筋肉や関節を傷める可能性がある。週末戦士になるにしても、運動量と強度は段階的に増やす必要がある。
5分以下でも、心肺持久力は伸びうる
週末にも時間を取れない人には、「エクササイズ・スナック」という選択肢がある。2026年のメタ解析では、1回5分以下の階段昇降や自重運動などを1日2回以上、4~12週間続けると、運動不足の成人の心肺持久力が改善した(*2)。
ただし、研究で使われたのは中強度から高強度の運動で、数分立つ、軽く体を伸ばすといった活動ではない。また、血圧や体組成、血中脂質、脚の最大筋力には明確な改善がみられなかった。数分の運動は万能ではないが、何もしない状態から抜け出す入口にはなる。
お酒やたばこと並ぶ? 座りっぱなしの本当のリスク
「座りっぱなしは新しい喫煙だ」「お酒やたばこと並ぶほど危険だ」と言われることがある。これはやや誇張された表現ではあるが、座りっぱなしによる健康への影響を甘く見ないほうがよい。
2024年、英国の約8万3000人を調べた研究では、座位が1日10時間を超え、さらに1時間増えるごとに、心筋梗塞、脳卒中、心不全などの発症リスクが平均15%高くなる傾向が見られた。静脈瘤、慢性静脈不全、起立性低血圧などについても、平均26%高い関連が報告されている(*3)。
では、座る代わりに一日中立てばよいのか。
同じ研究では、立位時間が長くても、主要な心血管疾患は少なくならなかった。さらに、立位が1日2時間を超える範囲では、30分増えるごとに、静脈瘤や起立性低血圧などの発症リスクが平均11%高い関連がみられた。動かずに立ち続けることも、解決にはならない。
重要なのは、座るか立つかより、筋肉を動かしているかどうかだ。
2026年に53件の実験をまとめた解析では、座り続けている途中に短い活動を繰り返し挟むと、食後の血糖値とインスリン反応が改善した。なかでも効果が大きかったのは、単に立ち上がる方法ではなく、短く歩く方法だった(*4)。
拙著『体力がすべて』の実効体力の章でも、長く座り続けると脳血流が低下しうることや、短い歩行を挟むことでその低下を抑えられる可能性を紹介した。単に立ち上がるだけより、歩く、立ち座りを繰り返す、軽いスクワットをするなど、脚の大きな筋肉を動かすほうが理にかなっている。
週末の運動やエクササイズ・スナックは、長い目で最大体力(体力の土台)を育てる方法である。一方、座位を数分の歩行で断つことは、その日の頭と体を動きやすい状態に保つ、つまり実効体力(その時に使える体力)を上げる工夫だ。
最新研究を踏まえた体力向上のポイント
●平日に時間がなければ、週末を含めて週全体の運動量を確保する。
●5分しかなければ、階段昇降や速歩など、少し息が弾む運動を入れる。
●デスクワーク中は、会議や作業の区切りに2~3分歩く。
●スタンディングデスクも、立ち続けるためのものではなく、座る・立つ・歩くといった動作を切り替えるきっかけとして使う。
(本記事は『体力がすべて』に関連した書き下ろし記事です。)
1. Kany S, Al-Alusi MA, Rämö JT, Pirruccello JP, Churchill TW, Lubitz SA, et al. Associations of “Weekend Warrior” Physical Activity With Incident Disease and Cardiometabolic Health. Circulation. 2024 Oct 15;150(16):1236-47. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.124.068669 PubMed PMID: 39324186; PubMed Central PMCID: PMC11803568.
2. Rodríguez MÁ, Quintana-Cepedal M, Cheval B, Thøgersen-Ntoumani C, Crespo I, Olmedillas H. Effect of exercise snacks on fitness and cardiometabolic health in physically inactive individuals: systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2026 Jan 19;60(2):133-41. doi:10.1136/bjsports-2025-110027 PubMed PMID: 41057224.
3. Device-measured stationary behaviour and cardiovascular and orthostatic circulatory disease incidence | International Journal of Epidemiology | Oxford Academic [Internet]. [cited 2026 Jul 23]. Available from: https://academic.oup.com/ije/article/53/6/dyae136/7822310?utm_source=chatgpt.com
4. Gale JT, Martin H, Haszard JJ, Peddie MC. The Acute Effects of Interrupting Prolonged Sitting With Regular Activity Breaks on Postprandial Glucose and Insulin in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. Obes Rev. 2026 May 3;e70152. doi:10.1111/obr.70152 PubMed PMID: 42070794.






