Appleは「Orion」レベルの試作機を開発済み?

 AppleがARグラス方面の開発をしていないかというと、おそらくそうではないだろう。個人的には「Orion」レベルの試作機は、すでに開発済みであると考えている(ただ、同社の流儀として、少なくとも1年以内に発売できるところまで来ない限り、発表しないと思われる)。

 というのは、Appleは2018年に、ARグラスの実現に不可欠なホログラフィックディスプレイ技術を持つAkonia Holographicsという会社を買収しており、この6年の間に、その技術を放置していたとは思えないからだ。

 たとえば「Orion」の視野角は約70度と、グラス型ディスプレイ装置としてはかなり広いが、Akonia Holographicsの広視野角ホログラフィックディスプレイはその1.7倍以上の120度をうたっている。また、薄さや透明度の高さ、フルカラーの鮮やかさについても自信を持っていたことが、当時のWebページの情報から伺える。

Appleが2018年に買収したAkonia Holographicsは、薄く透明で鮮やかなフルカラー表示が可能な120度の広視野角ホログラフィックディスプレイ技術を持つ企業だったAppleが2018年に買収したAkonia Holographicsは、薄く透明で鮮やかなフルカラー表示が可能な120度の広視野角ホログラフィックディスプレイ技術を持つ企業だった
これらの特許情報は、Akoniaがすでに「Orion」と似た表示技術を開発していたことを示しているこれらの特許情報は、Akoniaがすでに「Orion」と似た表示技術を開発していたことを示している 拡大画像表示

 この技術を元にした製品は、AppleとしてもApple Vision Proのラインとは別立てで、たとえばMacとApple Watchのような棲み分けのARデバイスとして世に出してくるのではないかと思われる。だとすれば、価格的にもApple Vision Proの3500ドルや、その廉価版として噂される2000ドルクラスのプライスレンジではなく、せいぜい1000~1500ドル程度以下には抑えたいはずだ。そのためにも、Appleが得意とする専用半導体の量産効果をApple Vision Proのシリーズ化によって高めていき、Apple Vision Proの第2世代モデルが登場すると噂される2026年か2027年あたりには、その姿を現すのではないか。Appleの出すARグラスはどんなものになるのか、今から期待している。