北朝鮮の飛行機が
日本の領空には飛んでこない理由

フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):北朝鮮の飛行機は日本の領空近くに飛んでこないのですか?あれだけミサイルを頻繁に撃つのだから、それ相応に飛行機も飛んできそうなものですが。

防衛省 航空自衛隊 第9航空団司令 兼 那覇基地司令 鈴木繁直氏(以下、鈴):北朝鮮機については推定を含め、2009(平成21)年度は8回、2013(平成25)年度に9回、そして昨年度、約10年ぶりに2回対応しています。また韓国の報道によれば、一昨年は約180機の北朝鮮軍機に対して韓国軍約80機で対応したとか、昨年は米軍機が北朝鮮のEEZ(排他的経済水域)内を飛行したとして、北朝鮮機が対応したという報道もあります。なので、北朝鮮の飛行機がまったく飛んでこないというわけではないのですが、頻度としてはとても少ないです。一方で、弾道ミサイルの開発、発射活動は活発になっていますね。

防衛省 航空自衛隊 那覇基地司令 鈴木繁直氏防衛省 航空自衛隊 那覇基地司令 鈴木繁直氏 Photo:Diamond

F:弾道ミサイルを重視するあまりに、航空機の方は手薄になっている可能性がありますね。

中:我が国の情報収集能力が明らかになることから言及はできませんが……ただ一般論として、例えば航空機を維持運用するよりも、弾道ミサイルを持つほうが、コスト面では非常にリーズナブルです。だから北朝鮮はミサイルに特化しているのではないでしょうか。

中:彼らにとっては、国の存亡に関わる死活問題ですからね。国際的に批判を受けようとも、何度も撃ってくる。