こうすることで、相手が価格以外の価値に目を向けるようになります。同時に、値上げするためには、追加の価値を提供しなければならないと感じるでしょう。

 購買担当として、ただ単に、値上げを認めるのではなく、最大限の価値を相手から引き出す流れをつくったのです。

 さらに、「仮にあなたが私の立場だったら、どうすればいいと思いますか?」という質問も効果的です。この質問は、相手にこちらの立場を想像させ、より具体的な提案や意見を引き出すのに役立ちます。

 相手がこちらの立場で考えることで、彼らの本音や内心の考えが浮かび上がり、交渉がスムーズに進むことが期待できます。

「仮に」という言葉を使って交渉を進めることで、相手の本音を引き出し、交渉の幅を広げることができます。この方法をマスターすることで、あなたの交渉力は一段と向上するでしょう。ぜひ、実際の交渉で試してみてください。

POINT
・「仮に」を使って、新しい前提を相手に提案し、意見を聞くことは有効。
・「仮に」を使った質問に対する回答から、相手の本音を読み取る。

時と場所をずらして
交渉の前提を変えてみる

 前項で、「仮に」を使って前提を変えることが有効だという話をしましたが、今回はさらに具体的に、時と場所をずらすことによる交渉の前提変更について説明します。

「時をずらす」例として、大リーガーの大谷選手が球団と契約したときの話を考えてみましょう。大谷選手の契約金は10年で1000億円を超えていますが、その支払額のほとんど(90数%)を10年後以降に受け取ることになっていると聞きます。

 支払いのタイミングをずらすことで、球団にメリットを与えることができます。