選択肢(取引カード)を
どう提案するかを考える
交渉の準備をする際に、選択肢をリストアップすることはとても大切です。
まず、交渉の基本として、最初のオファーは相手にさせることが重要です。これは、相手が何を考え、何を重視しているかを知るためです。事前に調べた情報が実際と違うこともあるので、相手の出方を見ながら進めることが大切です。
そして、相手の反応を見てから提案をすることが効果的です。
選択肢の取引カードのリストはすでに用意していますが、これを相手の様子を見ながら、相手が受け入れやすいものから順番に提示します。選択肢というのは要望の項目でもあり、譲歩の項目でもあります。要望を取り下げれば、それは譲歩になります。そして、どの選択肢を譲歩するかは、大切な要望を通すための戦略にもなります。
相手のニーズに対して、自分の強みをどう打ち出すかが重要です。
相手にとっては非常に重要だけれども、自分にとってはそれほど重要でないもの、つまり譲歩しても負担が少ないものを取引カードとして使います。
私の商社時代の話です。コートを生産し、大手小売店に納めていました。コートは寒くなると急に売れ出す商品です。
当初は1箇所の総合センターに納品する予定でしたが、寒波が来たために、先方から1日でも早く納品してほしいと依頼がありました。
それに応えて、全国数カ所に裁縫工場からコートを直送しました。これにより、先方は1日~2日、早く各店舗に商品が届き、先方は大きなメリットを得たのです。
当時、運送会社とのパイプもあり、全国配送についてもそれほど負担ではありませんでした。しかし、先方にとっては非常に大きなメリットとなったのです。