グッドコップ・
バッドコップ戦術をうまく使う

 ここでいう「コップ」とは刑事のことです。これは、強硬な刑事と好意的な刑事の二人が一組になって容疑者に働きかける戦術です。強硬な刑事が厳しく問い詰める一方で、好意的な刑事は優しく接します。

 すると、容疑者は好意的なグッドコップが自分の味方だと感じ、グッドコップに自白してしまうのです。あらかじめ二人が役割分担をして取り調べに当たるこの戦術は、実際の交渉でも使えるテクニックです。

 例えば、複数人で交渉に臨むとき、この戦術が応用できます。一人が強硬な立場を取る一方で、もう一人が相手に共感し、協力的な姿勢を見せることで、相手から有利な条件を引き出すのです。

 さらに、このグッドコップ・バッドコップ戦術には一人芝居バージョンもあり、これが特に有効です。

 ここでは、自分が好意的なグッドコップの役割を演じ、架空のバッドコップ(上司、役員会、社内ルールなど)を設定します。

 例えば、「あなたの立場や気持ちがよくわかります。私も何とかあなたの要望を受け入れたいのですが、私の上司がOKを出さないのです」と説明します。自分は協力的であるが、他の要因によって合意が難しいと演出するのです。

 さらに、「バッドコップを説得するためにあなたの力を貸してくれませんか?」「一緒にバッドコップを納得させるために協力してほしいのです」と相手に協力を求めます。

「何か少しでも譲歩できる部分はありませんか?」と尋ねることで、相手から譲歩を引き出すのです。この方法は、相手に対してプレッシャーをかける一方で、協力的な関係を築くことができるため、非常に有効です。

 このとき、バッドコップの存在を適切に演出し、その厳しさを強調しながらも、協力を得るための共感を示すことが重要です。

 この一人芝居バージョンのグッドコップ・バッドコップ戦術を使える機会は多いので、是非、実践で試してください。ただし、極端にやりすぎると信頼を失いかねませんので注意も必要です。