いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』がついに刊行。佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と絶賛する同書より、内容の一部を特別公開する。
今回紹介するのは、劇作家や皇帝ネロの少年時代の家庭教師という顔も持つ、ローマ帝国時代の哲学者セネカの名言だ。彼は宮廷で多くの人間の弱さや悪行を目の当たりにして葛藤しながらも、怒りやお金、友情、時間の経過といった普遍的な問題について思考を深めた。そんなセネカの思考の原則がわかる言葉だ。
不測の事態に備える
だが反対に、備えを怠っている者は、取るに足りない些細なことが起こるだけでうろたえる。
わたしたちは、予期せぬ事態などないように気をつけていなければならない。
──セネカ『ルキリウスに宛てた道徳書簡集』(書簡107・4)
「もっとも恐れていること」を思い描く
セネカによると、人生において苦難に対するうえでもっとも重要なことの1つは、備えることだという。
とはいえ、どうやって備えればいいのか?
古代では、「不幸に備えた熟考」が困難への備えに役立つテクニックとされた。ふだんからもっとも恐れていることを具体的に思い描き、それにどう対処するかを想定しておくのだ。
そうすれば、恐れていることが本当に起きたときに、対処の仕方がすでに用意できていることになる。
仮に何も起こらなかったなら、そのことに感謝して前に進めばよい。
(本原稿は『STOIC 人生の教科書ストイシズム』からの抜粋です)