いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』がついに刊行。佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と絶賛する同書より、内容の一部を特別公開する。
今回は、ローマ帝国の皇帝でありながら、哲学者として生きたマルクス・アウレリウスの言葉を紹介しよう。彼は子どもをなくし、蛮族の侵攻や軍の反乱の対処に追われ、疫病が蔓延する憂き目にも遭いながらも、思いやりをもって他者を扱い、淡々と賢明な政策を打ち出すなど、内面の平静と自由を保ち続けた。その思考の原則がわかる言葉だ。
魂を静養させる
あなたもそのような欲求を強く抱いている。
だがそれは、ごく凡庸であることの表れだ。
なにしろ人は、好きなときに自分自身のなかに引きこもることができるのだから。
自分の魂のなか以上に、静かに引きこもれる場所や、揉めごとから解放される場所はない。
……よって、そういう静養をつねに自分自身に与え、元気を取り戻すといい。
─―マルクス・アウレリウス『自省録』(第4巻3)
静かに内面を見つめる時間をとる
現代的な生活のなかで日々忙しく働いている私たちは、休暇をとりさえすれば問題はすべて解決すると考えがちだ。
たしかに、思索のための余暇はストイシズムに不可欠な要素だが、マルクス・アウレリウスは、リラックスを目的とした時間と自分自身からの逃避は同じではないと諭す。
ストイシズムにおけるもっとも効果的な静養は、己の内側に潜り、魂の奥深くを見つめることなのだ。
(本原稿は『STOIC 人生の教科書ストイシズム』からの抜粋です)