いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』がついに刊行。佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と絶賛する同書より、内容の一部を特別公開する。
今回は、ローマ帝国の皇帝として地上最大の権力を持っていたにもかかわらず、哲学者として生きたマルクス・アウレリウスの言葉を紹介しよう。彼は子どもをなくし、蛮族の侵攻や軍の反乱の対処に追われ、疫病が蔓延する憂き目にも遭いながらも、思いやりをもって他者を扱い、淡々と賢明な政策を打ち出すなど、内面の平静と自由を保ち続けた。その思考の原則がわかる言葉だ。
負の感情に支配されるな
判断であれば、自分の力で消し去ることができる。
まったく、自分の意のままにできるもののせいで苦しんでいるのなら、あなたがあなたの意見を正すことを誰が妨げるというのか?
──マルクス・アウレリウス『自省録』(第8巻47)
「刺激」と「反応」を分けて考える
マルクス・アウレリウスは、「あなたの意見を正すことを誰が妨げるというのか?」と問いかけている(答えは「自分自身」だ)。負の感情をじっくり見つめると、負の刺激(起きたこと)と感情的な反応(それに対してどう感じるか)は別のことだとわかる。
マルクス・アウレリウスは、外から受ける刺激にまつわる判断を排除し、自分の思いは刺激に支配されるものではないと気づくことで、人は力を手にできると諭している。自分の思いを支配するのは、自分自身だ。
(本原稿は『STOIC 人生の教科書ストイシズム』からの抜粋です)