知事選挙を素材としてソーシャルメディアの研究を行ったのは私が初めてではありません。むしろ、私が選挙とXというテーマに興味を持ったきっかけは、東京大学教授の鳥海不二夫氏のYahoo!ニュース個人記事「2020都知事選で小池都知事への応援メッセージがツイッター上にほとんどなかった件」を読んだことでした。
この記事で鳥海氏は、リポストネットワークを作成することによりXユーザの分析を行っています。
具体的には、都知事選挙期間中に「都知事」に言及した投稿を集め、リポストしたユーザが20%以上被っている2つの投稿をリンクでつないでネットワークを作成し、そこから類似情報群を抽出しました。その結果、2つのクラスタが発見されました。
1つは、アンチ小池百合子クラスタで、もう1つは保守系(桜井誠を支持する)のクラスタでした。そこで鳥海氏は次のような疑問にぶつかります。
あれ?そうすると小池都知事の支持層はどこにいるんだ?
ご存じのとおり、2020年東京都知事選挙は小池百合子氏の勝利でした。ところが、鳥海氏の分析においては、小池百合子氏に投票をしたはずの層による投稿がほとんど見当たらなかったのです。鳥海氏は記事の中で次のように言っています。
誰だ?ツイッターから社会が見えるなんて言ったのは!?