これを聞いた瞬間、エマはすべてに合点がいきました。自分の〈一番の強み〉は〈与える力〉だと気づいたのです。「これほど繊細でなければ、特別支援学級の教師に必要とされる思いやりが持てなかった。これが私の〈一番の強み〉なんです」。
エマは長年、過敏なのが悪いことのように言われてきたけれど、それこそが自分の最高の長所だと気づきました。他の人にはできないレベルで人の気持ちを察して共感することができる。それは、優れた教師や指導者にふさわしい資質です。
リサ・サン著、鹿田昌美訳
また、自分が「すぐに辞める人」ではないことにも気づきました。エマは〈楽観の力〉の持ち主で、自分にとって健康的ではないことにも順応でき、手放すこともできるのです。エマは、経験を積むことが最善の道につながるというポジティブな影響に注目しました。
エマは、自分の強みというレンズを通して自分の物語を再構築し、実力を発揮しました。自分を特別な存在にしている特徴について申し訳なく思ったり自己弁護したりする代わりに、強みとして認識して自分に取り込んだのです。
エマは現在、学んだことを他人と共有すべく、地元の大学の教育学科の修士課程で講義をしています。授業では、自分の人生を変えた『ナネット』の動画を見せ、学生たちに「これが私を良い教師にしてくれました」と伝えています。