「教室を整頓していたときに、これまで『辞めた』すべての仕事が今の自分を形作ってきたことに気づきました。人の家のクリーニングをしていたので、床をきれいにするノウハウがわかっていますし、インテリアデザインの仕事のおかげで、部屋を整頓して、自分とゲストにとって居心地のよい空間にするコツも知っています。ベビーシッターのアルバイト経験や自分の子育てのおかげで、子どもの扱い方もわかります」

 エマは、パズルのピースがしかるべき場所にはまり始めたように感じました。ところが、事態が変わったのは、気難しい年上の教師のクラスに配属されたときです。エマは、自分のやることなすことすべてが、間違っているように感じました。自分は教師に向いていないのかと悩みましたが、そのことが頭をよぎるたびに、不安に襲われました。「お前はすぐに辞める」という父親の声が聞こえるような気がするのです。

 エマは異動を重ね、さまざまな学年を教えながら、自分に合った場所を探しました。そこに新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生し、仕事量が2倍になり、1週間に7日働いて、怒りいらだつ保護者たちに対応し、画面上のバーチャル授業で生徒たちをやる気にさせるために最善を尽くしました。ストレスが強すぎて、授業の後にしょっちゅう涙を流し、胃腸の問題を抱えるようになりました。