コロナ禍で大学に入学し卒業した世代である「24卒」が新社会人となった今年。大学の授業がオンライン化したことで意外な恩恵に授かったのが、風俗嬢たちなのだという。歌舞伎町の社会学に詳しい佐々木チワワ氏が、今どきの若者の性事情をレポートする。本稿は、佐々木チワワ『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち ~慶應女子大生が歌舞伎町で暮らした700日間』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
風俗店の待機時間中に
授業を受ける女子大生
飲食店をはじめ、さまざまな業界に多大な影響をもたらしたコロナ禍だが、現役女子大生風俗嬢のなかには、コロナの“恩恵”を受けている者もいる。
「大学の授業がオンラインになって稼ぎまくっています」
そう語るのは、都内の有名私大に通う大学2年生のミナミ(仮名・19)だ。
「大学の授業は全部オンラインで受けられるものを取っています。ウチの大学はユルいから、決められた日までに授業を見て課題を出せばそれで単位がもらえる。溜めると13時間とかぶっ続けで見ないといけないこともありますが(笑)。1週間のうち2日くらいでまとめて授業を受けて、後の5日間は風俗でガッツリ働いてます」
遊ぶカネが欲しくて風俗店で働き始めたというミナミ。現在は歌舞伎町のソープランドで働いているが、ソープの個室からオンライン授業を受けることもあるという。
「ZOOMでの対話型の授業をソープの部屋から受けたことがあるんですけど、私がミュート解除してるときに仕事の電話が鳴っちゃって。それからはこちらも参加しなきゃいけない授業は取らないようにしてます(笑)。
風俗の出勤を減らさなくてすむから、オンラインはマジで神です。間違いなく、収入はコロナ前より上がっていますね。そもそも、200~300人が受ける授業をいまさら対面にする必要性あるんですかね?」
地方に「出稼ぎ」に出る
ツワモノ女子大生風俗嬢も
都内で授業を受けているミナミはまだ一般的なほうで、女子大生風俗嬢のなかには、地方に「出稼ぎ」に出る者までいる。コロナ前は歌舞伎町のデリヘルで働いていた大学3年生のアユミ(仮名・20)が語る。
「コロナ禍になってからは、ほとんど地方で稼いでいますね。1週間行ったら1~2日休んで、またすぐ次の地方に飛ぶって感じです。北海道から沖縄まで、いろんなとこに行ってますよ~」
風俗における出稼ぎは、ここ数年で定着してきた働き方である。自宅から通い、好きな日に出勤する「在籍」だと給料は歩合制、つまり、どれだけ客がついたかによって変わってくる。一方で出稼ぎには、「保証」というものがつく。仮に客がつかなくても、時間に応じて店舗から最低限の給料をもらえるというシステムだ。