誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
対話で大切なポイント
精神科の研修医だった頃、指導してくれた臨床研修指導医から教わったことがありました。
それは、患者さんとの対話のなかで「共感」を示す重要性についてです。
初診時に「よくここまで来られましたね」とか「本当に頑張ってこられましたね」といったひと言をかけることが、患者さんにとって大きな意味を持つ、と。
自己肯定感を高める「ひと言」
正直にいうと、当時は少し疑問に思っていました。「そんな形式ばった声がけをしたところで、患者さんは受けとってくれるのだろうか」と。
でも実際に、患者さんにそうした言葉をかけてみると、思わず涙を流すのです。そんな場を何度も目の当たりにすることになりました。
ときには、言葉だけがひとり歩きして、まるで棒読みのように感じられることだってあります。それでも、そのひと言で涙をこぼす人がいる。
それは自分が「誰かに認められている」と感じる瞬間が人にとって大切だからなのです。
努力や辛さが報われる「ひと言」
人は、自分の努力や辛さが報われたと感じられるひと言を求めているものです。
たとえ、それがどこか形式ばったものであっても、誰かが「アナタはよくやっている」と認めてくれた瞬間、張り詰めていた緊張感が、ふと緩むような感覚を得られるのです。
なにかを思い詰めている人は、自分がうまくできていないことや、思うように成果が出ないことで、自己肯定感が低くなりがちです。
そんな人に向けて、「一生懸命がんばっているね」というひと言をかけるだけで、その人の心がとても救われるのです。
相手を認めて、共感する
アテクシもこのことを意識して、XやYouTubeでは、真面目に頑張っているけれど悩みや葛藤を抱えている人に向けて、みなさんの頑張りを認めるメッセージを込めるようにしています。
その人の頑張りを「認めること」「共感すること」が、心の救いになるからです。
人が涙するほど心が救われる言葉というのは、その人が頑張ってきた道のりや努力を一瞬でも認めるもの。アナタもときには、周りの人の頑張りを認めてあげる言葉をかけてみてください。その人が救われると思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。