誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになります!
アドバイスはありがたいけれど
アテクシは普段からいろんな方とお話しする機会が多いのですが、なかにはX(旧Twitter)やVoicy、YouTubeなどついての意見やアドバイスを伝えてくださる方もいます。
ありがたいことですが、そうした意見を真に受けすぎると、どうしても方向性を見失うことがあるんですよね。
なぜかというと、誰かが言ってくれる意見というのは「氷山の一角」にすぎず、実際には表面に出てきた言葉の背景や理由は異なるかもしれないからです。
一部の意見で全体の方向性を見失う
たしかに一部の意見を代表しているかもしれないのですが、多くの場合、それが全体のフォロワーさんの意見を表しているわけではなく、むしろ逆のことも多いのです。
もちろん、みんなの総意を代表していることもないわけではないですが、その確率は決して高くありません。
だからこそ、何かを言われたときに、すぐにそのまま受け入れてしまうと、その少数の意見にだけ沿うことになり、他の大多数の方にとってはかえって不快な環境になる可能性があるんですね。
あくまで参考程度に留めておく
とはいえ、そういった多くの方々は特に意見を言ってくるわけでもなく、ただ静かに離れていくことが多いです。
結局、「みんなの意見を反映させたつもりがうまくいかない」ということも起きてしまうんですね。それは、声を上げてくれた方の意見が「みんなの意見」ではない少数意見である場合が多いからです。
こうした場面で、私が心がけているのは、言いに来てくれる方の意見は、あくまで参考程度に留めておくということです。
全体を推察するチカラ
言い方が少し厳しいかもしれませんが、「不採用」であるべき意見も多々あるのです。
ただし、そういった意見を完全に無視するのではなく、多くの方が本当はどう思っているのかという部分を推察することこそが重要だと考えています。
誰かが意見を持ってきてくれたとしても、それをすぐに反映するのではなく、他の方々はどう思っているかを想像して、全体の意見に照らし合わせて考える“思考的余裕”が生まれます。
ブレない方向性を保つコツ
特に、他人に言われるとすぐに対応したくなるという人も多いですが、そこはいったん立ち止まって、本当に改善すべき意見かどうかを考える必要があるのです。
声を上げてくれる方の意見が、往々にして特殊なものかもしれないと意識することが、ブレない方向性を保つためにとても大切です。
そのため、日々心がけるべきは、多くの方々が実際にはどう考えているのか、どんなことを求めているのかを、常に想像力を持って推察することだと感じています。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。