このように紹介を求められることが多いのは、発注側と受注側のマッチングが難しいからです。
編集者さんは、世の中にライターがたくさんいることはもちろん知っていますし、クラウドソーシングサービスのようなマッチングサイトがあることも認識しています。
ただ、膨大にいるフリーランスの中から、自分が求めるライターを見つけられずにいるのです。とくに好条件の仕事であればあるほど、募集が表に出ず、紹介によるケースが多くなるように思います。
ということは、紹介を受けられる可能性を高めると、それだけ好条件の仕事を獲得しやすくなりますよね。
その意味で大事になってくるのが、ブランディングです。
やはり、わかりやすい強みがある人は紹介を受けやすくなります。たとえば「健康系のライターを知らない?」と言われてすぐに思い浮かべられるような人は、仕事が途絶えないと思います。
自分の強みを認識して効果的に伝えることこそが、フリーランスの基本戦略と言えるでしょう。
第一に求められるのは
能力や知識ではない
自分の強みをアピールすることのほかに、意識しておきたいことがあります。強みがあることは大事なのですが、それだけでは仕事の紹介を受けられないということを、僕はある雑誌の編集者さん(Rさんとします)から教わりました。
Rさんは、経験の少ないライターにチャンスを与えようとしてくださる奇特な方で、僕も独立直後から大変お世話になりました。
ある日、Rさんと雑談をしていたとき、「ライターさんが足りていないから、誰かいい人いませんか?」と聞かれたので、「どんなライターがいいですか?」と尋ねたところ、このような答えが返ってきました。
「一緒に取材先に行って恥ずかしくない人がいいです」
てっきりライターとしての実績や、特定のジャンルに精通していることなどを求められると思っていたのですが、「恥ずかしくない人」こそが、求めているライターだったわけです。
Rさんに話を聞いてみると、有識者や経営者などの著名人にインタビューをするのに、Tシャツ姿だったり、言葉遣いがぞんざいだったりするライターがいて、何度か恥ずかしい思いをされていたそうです。