パチンコ、麻雀、女、酒、タバコを欠かさず、ほぼニート状態の父親。それに母親が共依存するという複雑な家庭環境に育った。14歳のとき、父親が自己破産して失踪。貧しい生活を支えた母親は病に倒れ、半身不随に。苦境のなか、独学で大学に合格、奨学金を得た。そして、兄・成田悠輔がくれた本をきっかけに「起業」を志した。話題の書『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)の著者・成田修造は、体当たりで起業家の道を歩むようになる。本書は起業を通じた人生の指南書で、何歳からでも組織に頼らず、副業・独立・起業でビジネスを展開するときに必須の内容。これからは会社員であっても、自分で事業をつくれると強い。その思考法とノウハウを全公開する。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
大学院卒の51%が
フリーランス
「独立」という選択について考えてみましょう。米労働省の調査によると、2022年時点の米国のフリーランス人口は7040万人で、全労働者人口の36%を占めています。
しかもフリーランス人口の割合は、高学歴になるほど高くなり、大学院修了の学歴を持つ労働者の51%がフリーランスです。
一方で日本の現在のフリーランス人口は労働力人口の2割ほど。僕はこれから日本のフリーランス比率は米国並みに高まっていくと考えています。
フリーランスに対する
ネガティブなイメージ
フリーランスは、自分の働き方、働く場所をある程度コントロールできる生き方です。
それだけ力やスキルが必要なわけですが、自分の力で食べていけるだけの自信がつけば、より人生を能動的に送ることができます。
フリーランスといえば、かつては「会社に就職できない人」「会社にいられなくなった人」「収入が不安定」といったネガティブなイメージを抱かれがちだったと思います。
会社員や公務員であることが当たり前で、フリーランスというのは二の次の選択肢だったわけです。
急速に高まる独立志向
でも、そんな認識は急速に過去のものになろうとしています。
米国では高学歴になるほどフリーランスの割合が高まっていることからもわかるように、日本でも優秀な人が次々とフリーランスになる傾向が強まっています。
僕は社会人のバスケットボールサークルに所属しているのですが、かつて大手の広告代理店やゲーム会社などに勤めていたチームメイトの8割が今や独立・起業しています。
結婚して子どもがいる30代の人でも、当たり前のように独立に踏み切っているのです。
クラウドソーシングの
利用者の変化
そうした時代の変化を、僕はクラウドワークスのクラウドソーシングサービスの浸透ぶりからも感じていました。
クラウドワークスは、フリーランスの人に仕事を提供するマッチングプラットフォームとして2012年にスタートしましたが、当時を振り返ると、フリーランスとして働くのはエンジニアやデザイナーのような一部のスペシャリストに限られていて、リモートワークも一般的ではありませんでした。
そのため、サービス開始時は、利用者のターゲットをエンジニアとデザイナーに絞っていました。
大企業社員の収入を
フリーランスが上回る時代
ところが、この10年ほどの間に日本人の働き方は一変しました。
マーケターやコンサルタント、営業など、個人でも能力があれば、大企業と対等にビジネスができ、収入面でもフリーランスが大企業の会社員を追い抜くことは珍しくなくなっています。
フリーランスにとって追い風になっているのは、テクノロジーの進歩によって個人でも生産性が高く働けるようになったことです。
フリーランスは
不利でなくなった
これは「副業」にもいえることですが、クラウドで使える会計ソフトや請求代行サービスなどが次々と生まれ、以前は会社のバックオフィス部門が担っていたさまざまな業務が自分でできるようになっています。
人手が必要なときも、オンライン秘書サービスなどを使えばサポートしてもらえます。
スマホでチャットができ、オンライン会議ができ、ドキュメントも表計算ソフトもすべてクラウドで簡単に操作することができるようになっています。
独立のハードルは
グンと下がった
何よりクラウドソーシングサービスを筆頭に、オンラインで仕事を受注できる仕組みができたことが、フリーランスにとっては大きな強みです。
前述したように20年ほど前までは、フリーランスが仕事を得るには、人の紹介か、営業をかける他ありませんでしたが、今はクラウドソーシングのサイトに情報を登録しておけば、クライアント側からアクセスしてくれますし、自分から仕事に応募することも可能です。
そう考えると、独立することのリスクはかつてほど高いわけではなく、むしろ積極的にチャレンジできる環境が整っているといえます。
※本稿は、『14歳のときに教えてほしかった 起業家という冒険』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。