グリーンピースを飛び出した
シーシェパードの過激テロ活動

 日新丸には、反捕鯨団体の妨害活動に抵抗した名残が残っていた。

 放水砲用大型海水ポンプ。

 ブリッジ後方左手の上部に設けられた8つのボタンを押し、妨害する船に放水して抵抗したのである。

 グリーンピースは調査捕鯨開始とほぼ同時に、南極海で妨害をスタートさせた。

「グリーンピースは我々の船についてきて、水をかけてくるくらい。大変は大変でしたけど、暴力を行使してくることはありませんでしたから、さほどではなかった」

 阿部は「問題はシーシェパードでした」と続けた。

 シーシェパードはグリーンピースを脱退したポール・ワトソンが設立した団体で、2007年から妨害を開始する。グリーンピースに比べて、シーシェパードの活動は常軌を逸していた。

 調査船団に対し、失明の恐れがある酪酸が入った瓶や発煙筒を投げつけたり、ワイヤーをスクリューに絡ませたりする妨害を繰り返した。

 2008年1月15日には、2人の活動家が第二勇新丸に侵入する事件が起きた。2日後にオーストラリアの船に引き渡すまで2人を監視した船員がこんな話をしてくれた。

「ヒマそうだったから、『もののけ姫』のDVDを貸してあげたんですよ。そしたら『日本最高』と喜んでいましたよ」