国民民主党自身も都民ファーストの会と連携を図るなど、生き残りを図っていますが、「手取りを増やす」キャンペーンが解決すれば、結局、公明党が連立政権で給付金を連発したのと同じで、財源無視のバラマキ主張政党と認識され、予算成立後は、自然に人気がなくなる可能性が高いと思われます。
野党各党が気付くべき
想像以上に「強い立場」とは
とはいえ、私は自民党が過半数を取るべきだとも思っていません。今回、委員会の多くを立憲民主党が押さえたため、議案提出能力が圧倒的に野党に移りました。17の委員会のうち、8つの委員長が自民党以外となっています。
議院運営委員会はさすがに自民が委員長ですが、委員会構成は、自民11(議長を除く)、立憲7、維新2、国民2、公明1、共産1、れいわ1となったので、野党が結集すれば、今までと違って野党の法案提出がかなり簡単にできます。この変化により、「手取りを増やす」以上の大変化が起こせるのです。
まず、法務委員会委員長が立憲になったので、(1)選択的夫婦別姓法案が提出可能になりました。公明は賛成、維新も共産も賛成ですから、石破首相が自民の党議拘束を外せば(外さなくても、右派は数が減ったので大丈夫かもしれません)、これは通ります。
(2)マイナンバーは総務委員会です。委員長は公明。石破氏はこの問題ではブレブレで、総裁選では延期しました。公明との政策協議でも延期としましたが、衆院選では触れず、平将明・デジタル大臣はマイナンバーの保険証紐付けにこだわる発言。ただ、選挙敗北後の石破氏のインタビューでは「紙は残す」ということでした。
とはいえ、政府の方針はまだわかりません。もともと石破氏は、マイナンバー延期派です。誰が見ても準備不足で、またトラブルを起こす可能性のある制度は石破首相から延期を決めた方が支持率は上がるでしょう。要するに、まだ党内に遠慮しているとしか思えず、今度どう方針転換をするかわかりません。
選択的夫婦別姓もマイナンバー延期も、本来石破氏の持論であり、立憲の野田氏の持論でもあるので、二大政党が気持ちを一つにして決定すれば、双方の支持率は上がります。今回の選挙で、日本人は「自民党に呆れ果てた」といわんばかりの投票行動を起こしましたが、かといって、野党に任せたいと思っているわけでもありません。
国民は安倍政権の清算者として石破氏に期待をしているため、時事通信の調査(11月)では内閣支持率は前月比0.7ポイント増の28.7%と横ばいでしたが、「石破茂首相は辞任すべきか」という質問には50.6%が「思わない」と回答しています。つまり、国民の石破氏への期待が安倍政権の清算であることを自らが確信すれば、それは支持率回復にもなるのです。