国民民主党の「にわか人気」が
長くは続きそうにない理由
新しい国作りより「次の権力者が誰か」にばかり興味がある日本のメディアは、もう次の選挙や、にわか人気の国民民主党ばかりに注目しています。しかし、自民・社会の二大政党時代から続く政治構造は完全に終わったことを認め、本来国会とは国民の税金の使い途を議論して決める組織であるという民主主義の原点に戻って、報道をしてほしいと思います。
戦後、ほとんどが自民党を中心とする安定多数の時代だったので、「それに戻りたい」、そうでなくとも「安定多数の与党がいい」という議論が目立ちますが、本来は拮抗する与野党が議論を重ねて、税金の使途や国の方向を決めるべきなのです。そして、今一番それを自覚すべきなのが石破首相と野田代表です。
キャスティングボードを握ると言われている国民民主党など、次の参院選までに雲散霧消すると私は思っています。玉木雄一郎代表のスキャンダルのせいではありません。この政党の議員のほとんどが、自民党に入党してもおかしくないメンバーだからです。
私は少数与党に転落してから、自らを「釣り堀屋のおっさん」と自嘲しながら、野党から自民党に数々の議員を一本釣りしていた故・野中広務元幹事長に、長時間その苦労話を聞いたことがあります。
「田中派のプリンスと言われていた鳩山邦夫氏が民主党に入党するなど、フラフラして、結局、自民党に戻りたいと土下座して頼んできてなあ。しかし、元の選挙区はもう自民党公認がいて、戻れない。比例区などでいろいろ世話したが、結局、東京では無理だと考え、2006年、母方の祖父・石橋正二郎(ブリヂストン創業者)の出身地である久留米市(福岡6区)へ国替えして安定した。とにかく、日本中の選挙区の事情と比例重複なら当選できるか、引退しそうな議員は誰か、いろいろ餌をぶら下げて釣るわけや」
こんな調子で、笹川堯氏、畑恵氏、茂木敏充氏 、大内啓伍氏、船田元氏、柿澤弘治氏など、どんどん自民党に戻っていきました(その全てが野中氏の成果というわけではありません)。そして、石破首相もライバル・高市早苗氏も「野中釣り堀」の仲間です。