「石川県知事と兵庫県知事、どっちがひどい?」能登豪雨対応でブーイングの馳浩知事がプロレスより先にやるべきこと能登を襲った地震と豪雨…折れかけている住民の心を支えるために、馳知事が今すべきこととは Photo:JIJI

石川県「二度目の大災害」も人災か
待ったなしの立場に置かれた馳浩知事

 不信任・失職と毎日マスコミで取り上げられる兵庫県の斎藤元彦知事と比べて、「どちらがひどいのか」と能登半島の知人がぼやいていました。確かに、斎藤知事は県の貯金(財政調整基金)を全国最低の34億円から4年で127億円まで増やした実績もあります。公益内部通報者を自死に追い込んだ可能性のある身勝手な行為は許しがたいものの、被災で苦しい生活を続ける能登半島の人々から見ると、馳浩知事こそ議会が不信任案を提出してほしいと思っているようです。

 9月21日、能登半島を襲った記録的豪雨は、輪島市で1日400ミリを記録し、その後23の河川が氾濫、28日現在で13人死亡、1人が行方不明、4人の安否確認ができていません。もちろん豪雨は天災ですが、死亡者や行方不明者が多数出たのは人災の側面もあります。

 この地域を大地震が襲ったのは1月1日。そこから8カ月たっているのに、いまだ被災地は復旧せず、倒壊家屋の残骸整理や治水が完了していない地域の人々が濁流や倒木に流され死亡したのは、何とも痛ましい出来事です。家屋や川が普通の状態だったら、こんなに死者は出なかったでしょう。

 地震の規模としては熊本地震の被害の方が大きかったのですが、2016年4月に発生し、7カ月後の11月には一時18万人もいた避難所の住民がゼロになっていました。それに比べて能登は、震災から9カ月以上たつのに復興が遅れたことが被害を拡大させたと思われます。

 なぜ、これだけ復興が遅れたのか。私の知人は口をそろえて「馳知事の責任が大きい」と言います。水害のニュース映像を見ていても、理由がわかります。

 まず、救援に向う人々の車が渋滞して、なかなか物資も人間も現地に行けません。往復のために時間を使うので仕事も進捗しません。その理由の一つはマスコミです。物資や救援人員の派遣が急務なのに、多数のメディアが押しかけ、「心が折れた」住民たちに無遠慮にマイクを突き付け、どうでもいいコメントをもらっている姿ばかりが目立ちます。県は救援を優先し、マスコミの取材人数を制限して、この緊急事態を理解させるべきでした。