「メンタルがプレーに影響するとは思ってない」。ことし大リーグで優勝したドジャースの大谷翔平選手が発した言葉です。ネットでは「常識をくつがえす流石の名言」と称賛のコメントが相次ぎました。聞いた人の気持ちを動かすこうした名言は、日々、次々と生まれています。その中から「これぞ」というものを選りすぐった名言を紹介するのが「名言グランプリ」。2017年にスタートしてから、今年で8回目を迎えます。12月の発表を前に、過去の名作を振り返ります。(構成/伝え方研究所 杉直樹)
「名言グランプリ」2023年のグランプリに輝いたのは、大谷選手の至言でした
大谷翔平選手は「マンガでもあり得ない活躍」で、世界に名をとどろかせていますが、じつは名言を量産する「言葉の人」でもあります。昨年、WBCの決勝戦(アメリカ戦)を前にロッカールームで選手たちに語ったのは、こんな言葉でした。
「憧れてしまったら、超えられない」
そして前回・2023年の名言グランプリで1位に輝いたのも、この大谷選手の至言でした。
まず「名言グランプリ」についてですが、この企画は、1年間にテレビ、ラジオ、新聞、SNSなどで発信されたコトバの中から、聞いた人が「前向きになる名言No.1」を決定するアワードです。
誰もがSNSで発信する時代。人を傷つける暴言も、ためになる言葉も、玉石混交の言葉の波が、日々、押し寄せています。その中から、人を前にすすめるような名言だけを探しだし、表彰することで、「新しい年を、より良い気持ちで迎える人が増えますように」という願いが込められています。グランプリは、言葉にゆかりのある人や、経済界で活躍する人たちなどを中心に構成される審査員が、毎年、熟議をかさねて決定しています。
「憧れてしまったら、超えられない」
という大谷選手の言葉も、審査員の議論によって決まりました。
審査員を務めたコピーライター・『伝え方が9割』著者の佐々木圭一さんは
「(WBCの)決勝は3対2の接戦でしたが、その1点差はこの名言から生まれたものだと思います。日本の野球選手の夢は、ほとんどがアメリカのメジャーでプレイすることだと思います。そのメジャーのオールスターたちは憧れの存在でしょう。大谷選手のこの名言によって、日本選手たちはメンタルだけでなく、カラダの動きまで変わったと思います」と評価しました。
ダイヤモンド社編集者の土江英明さんも
「日本人にとって未来に残してほしい言葉だなと感じました。受験とか就職とか起業とか、人生の大変な節目の場面で勇気をくれそうな言葉かなと。私もそうですが、日本人はフラットに人に向き合うのが苦手だと思うので、この言葉は非常に大切なのではと思いました」と賛辞を送っています。