親が相続対策しないまま亡くなると、残された家族や子どもは、膨大な手続きに苦労したり、争族に巻き込まれたり、相続税が払えなかったり…と、多大な迷惑をこうむります。本連載では、知識のない親御さんでも、ステップ式で5日で一通りの相続対策ができる『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、最低限やっておくべき相続対策のポイントを本書から抜粋して紹介していきます。
相続対策は「知ること」より「やること」が大事!
私は都内で税理士として仕事をしていますが、「相続対策」に関心があるお客様はかなり多いと感じています。
仕事でお世話になるマスメディアの方々も「相続の特集は人気で、よく売れるんですよ」とおっしゃいますし、実際テレビや雑誌、ネットなどでも相続の話はよく目にします。
「モノにあふれた家の中から財産を探し出して、一つずつ解約手続きをする」「遺産を巡って家族が争う」「相続税が高すぎて払えない」……。
そんな相続にまつわる苦労話をメディアで見聞きしたことがある方はきっと多いはずです。
そして皆さん、「自分は、家族にそんな苦労をかけたくない……」と思っているのではないでしょうか。
相続対策は「わかっちゃいるけどできない」もの
ところが、相続対策の必要を感じている人がそんなに多いのにもかかわらず、実際に「相続対策をしている」という方はきわめて少数派です。相続セミナーに参加するような意識の高い方ですら、実際に始めているという人は1~2割程度。
先日ご相談に来られた女性の方も、「そんなことまでご存じとは!」とこちらが驚くほど相続についての知識が豊富でした。聞いてみると「相続対策しようと、いろいろな本を読んだり勉強した」とのこと。
「でも知識はついても、結局何をどう始めたらいいのか、始めたとしても、最後までやり遂げられるかわからず、ここまで放置してしまいました」と……。
どうも相続対策とは「やったほうがいいとは思っても始められない」「知識があってもやり方がわからない」「やり通せるか不安で手をつけられない」、そういうものらしいのです。
本書は、そういった「相続対策が気になっているのに手をつけられないでいる」という方に向けて、相続対策を気軽に始めて、やり遂げてもらうために作りました。相続の「知識を得る本」ではなく、「対策をする」ための本であることが最大の特徴です。
相続対策は一度対策をしてしまえば、その後は1年に一度見直すだけでOKです。これで、いつ何時もしものことがあったとしても、残された家族に迷惑をかけることはありません。子どもたちからも「お父さん(お母さん)は、最後まで私たちのことを考えてくれていた、立派な親だった」と感謝・尊敬されること間違いなしです。
いくら、相続対策の知識があっても、やるつもりはあっても、結局できないまま亡くなってしまったら、子どもたちに迷惑をかけてしまいます。思い立ったが吉日!是非、この本も参考にしてやっていただきたいと思います。
*本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。