ロバート・ケネディ・ジュニア氏は、非主流の存在から米国の保健行政のトップとなる厚生長官の候補に躍り出た。この地位に彼を押し上げたのは、新型コロナウイルス禍で急速に広まった医療界に対する懐疑心と不信感だ。かつては従来の医療を信用していないという理由で取り合ってもらえなかった人々が、今では米政府内に新たな擁護者を得たとして歓喜している。一方で科学者らは、長年の公衆衛生対策を脅かすポピュリスト的な動きを引き起こすことなくコロナ禍に対応できたかどうか、考えを巡らせている。コロナ禍の規制に対する根強い反感が、ケネディ氏と同氏が掲げる「メーク・アメリカ・ヘルシー・アゲイン(米国を再び健康に)」運動を後押しし、食品や水、医薬品の汚染に不安を感じる左派と右派の両方から支持を集めた。彼らの多くがワクチンの必要性に疑問を抱き、自分たちの懸念が専門家に無視されたり、無知だと見なされたりしたと感じていた。