「随分、参加者思いですね?」

 そう言われることもありますが、うーん違います。

 ファシリテーターが定めたゴールに、早く確実に連れていくため、参加者の表情をキャッチするのは必要最低限のタスクなんです。

 だって、態度って顔に出ますから、それによって速やかな軌道修正が必要になるからです。

 では、なぜブラック会議がデフォルトになったのか?

 何十人か、大企業の方にインタビューしたところ、

・ネット回線の問題(画面オンにすると速度が遅くなる)

・女性が毎回化粧をしなければならない

 などの答えが返ってきますが、どれも曖昧な回答でした。

 本当の答えは「だってみんな、そうしてるから」が実情なのでしょう。あんまり考えていないのです。

 でも、ブラック会議のまま進めて、

・納得性がないために行動化しない合意を取り付ける

・離職を考え始めた者の兆候を見逃す

 などの弊害が起きやしませんかね?

 そんなことを懸念しています。

 じゃあ、どうすればブラック会議を避けられるか?

 私の経験を話しますね。

「今度の会議は、顔出しして始めます」と主催者が予告するだけ。

 たった、これだけです。

 先に伝えたように、画面オフにして、ブラック会議にする確固たる理由はありません。どうしても画面オフを続けたいブラック会議推奨派なんてのも、ありません。

 誰も指摘しないだけで、深く考えないで、浸透してしまっているのです。

 顔出し会議が実現した暁には、ファシリテーターは、参加者の表情を注視しましょう。

 何のためか?もちろん、それは、ゴールに向けて、無理なく最短時間で全員を連れていくためです。

意見を言うタイミングがなければ
机を叩いてでも意思表示せよ

 私が外資系企業にいた若きマネジャーだった時の経験です。その企業には、世界中の国々から人が集まってきていました。

 アメリカ人、インド人らが参加して、英語で会議が始まります。

「ここは、一体どこなんだ?」と一瞬疑いますが、我が国のとある会議室で、社内公用語の英語で会議は進み、いつしか終了します。

 そこで、日本人である私は何度も辛酸をなめました。会議が不本意な結論で終わることが多かったのです。今回はそんな体験談です。

 実際の場面は、自己主張の強い外国人による早口の英語で、どんどん進行、結論が出てしまいます。

 その結論に対して、私を含めた日本人はあまり異論を唱えません。穏便に物事を進めようとする日本人から見ると、その進め方は強引に映り、会議終了後に煮え湯を飲まされた後味だけが残ります。