自分だけ後味が悪ければ、まだいいですが、その結論が、自分の組織に関わるものになると、一緒にいたスタッフに影響します。

 皆さんなら、異論がある時、どうしますか?

・反論できるような流ちょうな英語を身に付ける

・高等なディベートテクニックを駆使する

 私の経験で、一番有効だったのは、どちらでもありません。

 もっと原始的(プリミティブ)なことです。それは“意思表明すること”でした。

 もっと具体的に言うと“机をどんどん叩く”ことでした。

 アメリカ人のいいところの1つとして、会議終了後に必ず確認をする習慣があります。そのフレーズは“Any Questions?(何か質問はありますか)”です。

 ほとんどの日本人が、この時間をやり過ごし、何も質問しません。

 そこで、私は異論がある時、会議終了時に確認を求められたら、机をどんどん叩きながら“I have objections(反対です)”と表明しました。

 さすがの外国人もどんどん机を叩く意見は、ぎょっとして注目します。

 そこで、

・何に反対なのか?

・なぜ反対なのか?

・何が代案なのか?

 を意思表示するのです。しどろもどろでも構いません。

 流ちょうな英語でもなく、高等なディベートテクニックでもありませんが、怒気をはらんで反対しているな、ということが確実に伝わります。

 結果として、自組織にとって不利になることが極端に少なくなりました。

 机をどんどん叩くのは演技ではありましたが、時にはそういう“ポーズ”も大事なんだな、と経験できたのです。

 逆に良くないのが、その場は何も反対せず、会議終了後に「あれはないよな」と愚痴をこぼすことです。

 会議の戦いは、会議中に終えなければなりません。

 決定したことは、会議後に巻き返せないのですから。