「会議が盛り上がる会議室」と「テンションが下がる会議室」の明確な違い写真はイメージです Photo:PIXTA

長いだけで何も決まらない、いいアイデアが出ない会議に参加することはできれば避けたいものだ。会議を「短く濃く」、より良いものにするためには会議を行う環境や服装も実は重要な要素。年間300回のセミナー・講義を手掛けるプロ・ファシリテーターの著者が、参加者のテンションが上がる会議について伝授する。※本稿は、横田伊佐男『マーケティングコーチ横田伊佐男の特濃会議学』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

最短時間でゴールに辿り着く
ファシリテーション・スキル

 もし、あなたが会議を牽引するリーダーであれば、率いるメンバーの時間、もっと言えば人生そのものを変えてしまう方法がある。

 それが、「ファシリテーション・スキル」である。

 リーダーのコトバで、メンバーの力を最大限に引き出し、最短時間でゴールに着地させる「ファシリテーション・スキル」は、まさに一生物のスキルだと言える。

 筆者はプロフェッショナル・マーケティングコーチとして、年間300回を超える研修講座を行っている。

 対象は、大学生、ビジネスパーソン、経営者と多岐にわたり、講座内容も課題も千差万別だが、制約の中で描いたゴールに必ず着地させるファシリテーション・スキルを駆使している。

 研修の後、参加した受講者たちからは

・会議時間が半分になった

・短時間でゴールに辿り着いた

・リーダーとしてのコトバが届きやすくなった

 などの声が聞こえてくる。

 それらの声が異口同音に語っているのは会議に費やす時間が「短く濃くなった」ということだ。

会議の場所がよければ
アイデアも出やすくなる

 ファシリテーターの本音です。

 私には、プロ・ファシリテーターとして、研修や講演、泊まりがけ経営合宿の会議進行依頼が来ます。

 そのたび、私は主催者にこうお聞きします。

「どんな会場、会議室ですか?」

 そうすると、

「なぜ聞かれるんですか?場所は重要なのですか?」と聞き返されます。

 ファシリテーションに場所は重要なのか?そんなお話です。

 では早速、私の答えを申し上げますね。

 場所、とっても重要です!

 なぜなら、ファシリテーターも参加者も気分で動く生き物だからです。

 発想を膨らませる会議は、天井が高く見晴らしがいい会議室だとアイデアも出やすくなります。

 長期的な戦略を決める会議などは、使い慣れたオフィスから飛び出て、遠方で合宿会議を行うと、集中力が高まります。

 例えば、私は起業家向けの会議を主催する時、キャンプ場を会場に選定することがあります。

 文字通り、天井を外した環境を用意することで、都会では気付けない発想が生まれるからです。

 会議最高峰の先進国首脳会議(サミット)が水辺で開催されるのも、警備のしやすさ以外に、気分が和み意見がまとまりやすいからでしょう。

 1つ、会場選びの重要性を痛感した経験談をお話ししますね。

 ある時、女性起業家向けに、マーケティングのワークショップをする講演機会がありました。

 ファシリテーション的には、手慣れたものなので難しくありませんでしたが、当日私に大きな問題がのしかかりました。

新調したシューズを脱いで
泣く泣く不格好なスリッパに……

 講演で重要視したのが、「女性×マーケティング」です。

 経験上、女性の方が講師の身なりやおしゃれに敏感です。また、マーケティングで新たな発想を膨らませてもらうため、ワクワク感をお届けすべくコンテンツに磨きをかけました。