そのため、清潔感あるスーツに、ピカピカのイタリアンシューズを新調し、現地会場に赴きました。参加者を惹き付けるためでもありましたし、自らモチベーションを高揚させるためでもあります。
ところが、最高のモチベーションをつくり上げ、会場に到着した途端、奈落の底に陥りました。
主催者に案内されたのはカビた匂いがする古い雑居ビルの1室。せっかくのシューズを脱いでスリッパに履き替えないといけませんでした。
参加者が到着する前に、鏡に映し出された自分を見て、泣きましたよ。だって、体にフィットさせた真新しいオーダースーツの足元は、ご自慢のシューズの代わりに不格好なスリッパだったからです。
会場を確認しなかった自分を呪いました……。
ファシリテーターの気分は、参加者にも伝わります。
テンションを100点満点に引き上げスタートするべきですが、この時はマイナスに落ち込んだテンションをゼロに戻すことが大変でした(もちろん、スタート前までテンションを戻し、夕方の終了時には最高のテンションでゴールにお連れできました)。
一方で、疲れを伴う数日間の経営合宿をファシる際は、会場選びから参画することがあります。
ある時、いくつかの候補地から海が一望できる会議室を内覧することができました。参加者の気分も上がり、良き会議になることを直感し、即決。実際、その通りになりました。いや、ファシリテーターの私が何より、上がっていたのでしょう。
ファシリテーションの“幹”は、“誰と何を論じるか”が最重要です。
対して、場所選びはあくまで“枝”です。
ですが、場所選びは極めて太い枝です。
“どこでやるか”も見逃せない要素なのです。
プロ・ファシリテーターだって
心が折れそうになるときはある
ファシリテーターの本音です。
「ファシリをしていて、心折れることはありますか?」と聞かれることがあります。
「いえ、プロですから、ないですね」と表向きは答えますが、そりゃ、私も心折れそうになる時もありますよ。
でもね、ファシリテーターは心折れたらダメなんです。
私の場合、どうしているか……、そんなお話です。
私は、お金をいただいての取り仕切り、いわゆるプロ・ファシリテーターってのをやっております。
平たく言うと、講師や大学教員って名前が付くやつです。そうするとですね、受講者は大きく2つのタイプに分かれます。
・やる気ある受講者
・やる気ない受講者
後者は、自分の意思で参加していない企業研修受講者に多いです。そんな研修風景をご紹介しましょう。