11月19日に新しいブランドロゴを発表したジャガーが、本日、2026年に発売する新コンセプトモデルを発表しました。新ブランドロゴは賛否両論、イーロン・マスクがXで反応するほど話題となったのですが、肝心のクルマはどれくらい新しくなるのか?ロンドンで行われた発表会で、フェルさんが責任者にインタビュー。「ジャガー再出発プロジェクト」について聞いてきました。(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)
ジャガーの新しいブランドロゴにイーロン・マスクも反応
先々週お伝えしたとおり、ジャガーの新しいブランドロゴが発表された(参考記事)。ピンクを基調とした大文字と小文字が混在したシンプルなロゴは、良くも悪くも大きな反響を呼んでいる。
ジャガーのFacebookアカウントは、新しいロゴと前衛的なプロモーションビデオを発表した直後から、文字通り「炎上」と呼べる状態だ。「新しい!」「Unique!」と称賛の声が上がる一方で、「モトローラのパクリじゃね?」「化粧品のパッケージみたい」「もう2度とジャガーは買わない」と辛辣な声も多い。ざっと見たところ、ネガティブな意見が8割を占めている。
Xではイーロン・マスク氏に「Do you sell cars?」(おたくらクルマを売ってるの?)などと散々な言われよう。それに対してジャガーは、「Yes. We'd love to show you. Join us for a cuppa in Miami on 2nd December? Warmest regards, Jaguar.」(はい。ぜひお見せしたいです。12月2日にマイアミでお茶をご一緒しませんか?心を込めて、ジャガーより)とユーモアを交えて余裕の回答。何だとテメーと簡単にキレないところは、さすが英国の老舗ブランドである。
「12月2日のマイアミ」とは、当日から開催される「マイアミ・アートウィーク」を指している。ここでデザインコンセプトモデルが世界初公開されるのだ。「まあまあそうカッカしなさんな。会場で我々の新しいクルマを見ながらお茶でもしましょうよ」という訳である。ジャガーのX担当者は聡明だ。
イーロン・マスク氏のXのフォロワーは2億500万人(!)。対するジャガーのフォロワーは125万人。「悪評もまた評なり」という言葉を信じれば、この発表は大成功ということになる。論争自体がブランドの注目度を表しているわけで、良くも悪くも「話題になる」ことはプロモーションの成果と見ることができよう。ありがとう、イーロン・マスク。
一方で、この轟々たる非難をどう受け止めるか。「もう2度と買わない」という書き込みはあまりにも重い。従来顧客や潜在顧客が新しい方向性に懐疑的であり、ブランドアイデンティティの喪失を懸念していることが伺い知れる。
このプロモーションが吉と出るか凶と出るか……それは2026年の新車販売で明らかになる。結果は2年後にご覧じろ。ジャガーは大きな賭けに出たことになる。