営業が仕事ですから、他の業種と同じく、会社から与えられた予算(ノルマ)があります。「この商品を、今月はこれだけ売れ」という指示のもとでお客様に商品提案をしています。内情を知っていれば、その提案が予算ありきの「売りたいものを売る」提案なのか、本当にお客様のニーズに沿った提案なのかは、すぐにわかります。

 金融機関では、収益予算をなくしたと公言する会社もあります。しかし表向きはそう表明していても、実際には高コストの投資信託の残高予算という形で残っています。これは運用している口座の残高の数%を手数料として稼ぐもので、実質的に販売予算と変わらないといっていいでしょう。

 この場合は、販売した投資信託を途中で売却されると残高が少なくなって予算の達成が困難になります。そのため売るべきタイミングでも売却提案がまったくないか、もしくは売却と別の投資信託の購入がセットになっているケースが散見されます。結局は予算を達成することが優先なのです。

 従来の金融機関が行う資産運用のビジネスモデルが、時代の変化に追いつけていないことを念頭におく必要があります。自身の高コスト体質がサービスの足を引っ張っているとわかっていても、なかなか対応しきれていません。

 こうした背景からも、個人が資産運用をする際には、最低限の金融知識を持たないといけないのですが、現実にはそう簡単ではありません。ですからまずは、代表的な「やってはいけない資産運用」とは何か?その理由と商品の仕組みを知っていただくことから始めてもらいたいと思います。