ファミマは好評で、すぐ完売したようである(在庫数を少なめにした戦略などもひょっとしたらあるかもしれない)。話題になったのはファミチキデザイングッズで、ユーモアあるデザインがウケたようである。オリジナルグッズは、やるなら思いっきりオシャレにするか思いっきり面白くするか、何かの方向に振り切った方が浮動ファンの支持を得られそうである。

 ローソンは、ただのお菓子の詰め合わせなのだが、1080円という入手しやすい金額と、お得にお菓子が手に入るワクワク感が毎年楽しみにされている。スタイルとしては令和福袋でなく従来型福袋に則ったものであるが、日常的に見るお菓子の数々は総額が計算しやすく、すなわちお得感も肌で実感しやすい。昨今の物価高で生活が圧迫されている消費者からは、なおのこと喜ばれているようである。

福袋が「まあ、こんなものか」で
許されなくなった背景

 従来型福袋は、“販売元の在庫処分”と“消費者の「ワクワクを買う」”という点で利害が一致していた。この福袋は当たるも八卦当たらぬも八卦で、内容が体感的にハズレだったとしても消費者は、「色々入っていて総額では得しているし、まあこんなものか」とギリギリのところで自分を納得させることができた。

 しかし、最近はSNSが盛んである。ちょっと不満を感じたらそれがすぐネットに発信されて多数にシェアされる。福袋の中身なんかは格好のトピックで「あそこの福袋は微妙らしい」とイメージが付いたらブランドにとって致命傷だから、アパレルブランドが出す従来型福袋の中身は今や結構しっかり充実しているし、いっそ運要素を極力排して中身をあけっぴろげにしてしまおう、というところで令和福袋が浸透してきたのである。

 そして、どう考えてもお得な令和福袋を手にした消費者は、当然喜び、それをSNSで発信する。するとブランドのイメージが向上する。企業が場合によっては赤字覚悟で令和福袋を販売するのは、ある種の広告戦略でもあるわけである。

 ただ、だいぶ場が煮詰まってきているので今後どうなっていくか。というのも、令和福袋は全体が“超お得”という雰囲気なので、少しせちがらさを感じさせる内容だと、すぐに消費者から不満が寄せられるのである。加熱するサービス競争の末にサ―ビスの質が低下してしまっては、企業と消費者双方にとって良くないので、お互いが喜んでいける幸せな福袋の運用が、ぜひとも目指されたいところである。