今年の「現代用語の基礎知識選 2024ユーキャン新語・流行語大賞」は「ふてほど」。この発表結果に「はて?」の声がSNS上で噴出している。確かにあのドラマは話題になっていたが、大賞を取るほどだっただろうかと疑問に思う人が多いようである。しかし、それでは「他に何が」というと難しい。そもそも、皆が納得できる流行語を探すのが難しい時代になってしまったのはなぜか。(フリーライター 鎌田和歌)
「名言が残せなかった」が
象徴する流行語大賞の違和感
「ふてほど」は、今年の1月から3月にかけて放送されたTBSドラマ『不適切にもほどがある!』のことである。放送時、確かに話題になっていた記憶はあるが、流行語大賞としてふさわしいかというと、ピンと来ないのは確かだ。
SNS上の反応を拾ってみると、「平均世帯視聴率が7.6%のドラマがなぜ?」という声のほか、「これが『不適切報道』の略ならわかる」と、すでに大いにイジられている。
「不適切にもほどがある!」は、ハラスメントやコンプライアンスの意識がまだ薄かった昭和の学校教師が令和の時代にタイムスリップしてしまう、という内容で、時代に対しての批評性はあった。また、このドラマをきっかけにキャストの一人だった河合優実がブレイクを果たしたことも今年らしい話題ではある。
しかしそれでは「ふてほど」という略語がそこまで流行っていたかというとピンとこないし、日常で使う言葉としては、NHKの朝ドラ『虎に翼』の中で使われていた「はて?」や「スンッ…」の方が汎用性が高い。
もちろんドラマの制作陣にまったく非はないのだが、満場一致の流行語大賞ではないように思える。
しかし、それでは何が大賞にふさわしかったのだろうかといえば、これが難しい。トップ10はほかに「裏金問題」「界隈」「初老ジャパン」「新紙幣」「もうええでしょう」などがあるのだが、どれも大賞にはインパクトが欠ける印象だ。