「円安?」「国債?」「チャットGPT?」よく耳にするけれど、実際のところ何のことなのか、何が問題なのかわからないまま……そんな今さら聞けないニュースや用語の数々を、どこよりも楽しく、そしてわかりやすくご紹介します!大人気アニメ「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんが新聞記者となって、世の中の経済ニュース・時事用語を基本からていねいに紐解き話題となっている書籍『「鷹の爪」の吉田くんが聞く!経済ニュースと時事用語がめちゃくちゃわかる本』の中から一部を抜粋、編集してお伝えします。(構成/上栗崇)
本連載は、好奇心旺盛な「鷹の爪」吉田くんの質問を、先輩であるアカツキ記者が答えていく会話形式で構成されています。今回のテーマは「地球温暖化」です。
部屋の温度を変えるぐらいで温暖化が防げるんですか?
アカツキ先輩(以下、アカツキ):取材から戻ったぞ……うわっ、なんだこの部屋の暑さは! エアコンの設定が36度ってどういうことだ。
吉田くん(以下、吉田):だって平熱といえば36度じゃないですか。ぼくの生まれ故郷の島根では、「平常心」と「平熱」と「Hey Siri」の「3へい」を守れば家が栄えるという格言があるんですよ。
アカツキ:島根はリンゴマークのあの会社からふるさと納税でも受けているのか? いいか、環境省は夏の室温は28度、冬は20度にすることを推奨してるんだ。36度はむちゃくちゃだぞ。
吉田:あっ、あれですね。地球温暖化対策。でも部屋の温度を変えるぐらいで温暖化が防げるんですか。
1.1度上昇ぐらいなら、夏場だけちょっと我慢すればいいじゃないですか?
アカツキ:温暖化の原因は二酸化炭素などの温室効果ガスだ。エアコンを使いすぎないことで電力消費を減らして、火力発電で電気を作るときに出る二酸化炭素を抑えることができる。
吉田:でも先輩、地球温暖化って本当に進んでるんですか。夏は確かに暑いけど、冬は普通に寒くなるし、実感がわきません。
アカツキ:間違いなく進んでいる。先進国で化石燃料を使うようになった産業革命前の19世紀後半と比べて、地球の平均気温は約1.1度上がった。
吉田:1.1度ぐらいなら、夏場だけちょっと我慢すればいいじゃないですか。
アカツキ:そういうわけにはいかない。温暖化は様々な異常気象の原因になっているからだ。世界気象機関(WMO)は、1970年から2019年までの約50年間で、干ばつや洪水など異常気象との関連が指摘される災害が5倍に増えたと報告している。この間、約1万1000件の気象災害が起き、200万人以上が死亡した。
災害が温暖化の影響だって、なぜわかるんですか?
吉田:災害が温暖化の影響だって、なぜわかるんですか。たまたま起きたのかもしれませんよ。
アカツキ:温暖化した地球と、温暖化のない地球をコンピューター上で再現して、それぞれで異常気象が起こる確率を計算する「イベントアトリビューション」という手法で調べているんだ。このやり方で、特定の気象災害について、温暖化の影響がどの程度あるのか調べられる。
吉田:コンピューター! あいつは頭がいいですからねぇ。なら納得です。
アカツキ:コンピューターへの信頼がすごいな。国際研究グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」は、2023年7月に欧州や北米、中国を襲った熱波や、2022年夏にパキスタンで起きた国土の3分の1が冠水したとされる大洪水、同年7月にイギリスで最高気温40度を記録した熱波などは、温暖化の影響があると結論づけている。
吉田:国土の3分の1! 島根の3分の1が水没したら、島根にしか生息していないトリケラトプスはどうなっちゃうんですか。ぼく、温暖化に絶対反対です。
アカツキ:島根の生態系は白亜紀のままなのか……。