韓国の人々の英語力は、私の印象だと、かつてとはまるで違う状態になっている。私と同世代の韓国人の英語力はかなり低かった。ところが現在の若い世代は、国際的に活躍している人も多く、英語力は極めて高い。
これは韓国人が英語の勉強に極めて熱心であるためだ。韓国の経済成長率の高さは、英語能力の向上と決して無関係ではない。
本コラム『物価と賃金の「好循環」は本物か?生産性上昇が伴わない賃上げは危うい』(2024年11月28日付)で、日本経済の最も重要な課題は生産性が上がっていないことであり、生産性の向上のためには高度人材の育成が必要だと指摘した。日本の人材の質が、世界比較で見て低下しており、日本経済の生産性が向上しない最も基本的な原因の一つであることは間違いない。
英語の学習にChatGPT活用が有効
個人のレベルに応じた“最高の家庭教師“
しかし、こうした状況を解決しようと思えば可能だ。そのための手段が急速に開発されているからだ。
特に重要なものとして、ChatGPTがある。
英語の勉強にChatGPTを活用する計画が、文部科学省の後押しで進んでいる(なお、英語以外の外国語の勉強についても、以下に述べるのと同じ方法が使える。外国語の勉強は英語に集中することが考えられるので、ここは「英語」という表現を用いる)。
例えば、ChatGPTを使えば、個人個人のレベルに合った勉強ができる。
人間の教師は、最初に使い方の基本を教えるだけで、あとはほとんど必要ない。学ぶ側は自分一人で、いつでも、いくらでも勉強ができる。最高の家庭教師と言える。
このことは他の学習についても言えるのだが、ChatGPTはしばしば誤った回答をすることが問題だ。これは「ハルシネーション」とよばれる現象で、現在のところ抜本的な対処策がない。
しかし、英語の学習では、間違った答えを出す確率はかなり低いと考えられる。このため、英語はChatGPTの活用に最も適した学科だと考えることができる。
勉強を進めるのには、ChatGPTが使える環境以外に、特別に必要とされるものはない。英語の勉強に特化したさまざまなアプリが開発されているが、それらを使わず、現在あるChatGPTをそのまま使うだけでよい。有料版を使う必要もないだろう。
ChatGPTの利用法として、英語の学習は最も効率が高い分野だ。