政府債務が日本の半分以下のフランスで
なぜ財政不安が高まっているのか
フランスの財政に対する不安がにわかに高まっている。フランスの信用リスクの指標とされるフランス国債とドイツ国債の利回り格差(対独スプレッド)は、2024年6月の欧州議会選挙で極右政党が大躍進を果たしたことや、それを受けてマクロン大統領が国民議会(下院)の解散・総選挙の実施を表明したことをきっかけに大きく上昇した。その後は概ね横ばい圏で推移していたが、このところの国政の混乱を受けて再び上昇傾向に転じ、足元では2000年代末に欧州債務危機の震源地となったギリシャの同指標とほぼ同水準となっている。
しかし、一見したところフランスの財政がそこまで深刻な状況にあるようにはみえない。2023年のフランスの政府債務残高は対名目GDP比で110%と、ドイツよりは高いもののイタリアやギリシャを明確に下回っており、日本の同250%の半分にも満たない水準だ(図表1)。
ではなぜ、フランスで財政不安が高まっているのか。そこには(1)EU・ユーロ圏加盟国共通の問題と、(2)フランス特有の問題が存在する。