アパート3棟を持つが
貯金はなく家計は赤字

 年収が平均よりやや高めの人や副収入のある人に多いのが、「たぶんこのくらい稼げるだろう」という見込みの収入で未来の生活を考えることです。

 また、別のHさん夫妻は夫が会社員、妻が自営業。小学校のお子さんが2人います。年収750万円ですが、アパートを3棟持っています。

 とはいっても、2億円近くの住宅ローンを組んでいるので、家賃収入が丸々自分たちの収入になるというわけではありません。ローンを返済し、固定資産税やメンテナンスなどにお金を払った残りが収入になりますが、今のところほとんどプラスにはなっていないのが現状です。貯金はほとんどありません。

 にもかかわらず、順風満帆な未来を当て込んだ家計設計をしています。

 アパートも常に借り手がいて満室状態の場合の収入を想定しています。また、妻の収入は現在平均して20万円ほどですが、これからどんどん上がっていくと考えています。これらの収入をすべて当て込んでいるからか、全体的に財布のひもが緩く、月の支出は80万円以上。月の家計は赤字。ボーナスでかろうじて黒字という状態です。食費が10万円超え、水道や電気などの光熱費、そして携帯料金も全体的に高めです。そのほか、洋服や化粧品代も毎月3万円以上かかっています。

 Hさん夫妻は、今、賃貸に住んでいますが、数年後にはマイホームを購入したいと考えているようです。そこで住居費を今より10万円上げたいと考えているようです。月の家計が赤字なのにもかかわらず、です。

 私から見ると、Hさん夫妻の家計状況は、車にたとえるとものすごく燃費の悪い外車のように思えます。このまま突き進んでいくと、近い将来、ガス欠で「お金がない!」とすべてが滞ってしまう困った状態になってしまうと思うのです。

 家計相談では、今の支出から削れるものを検討していただくのですが、Hさん夫妻は譲れないものが多く、80万円の支出のうち4万円ほどしか節約できないと言います。

高収入の人ほど
希望的観測を抱く

 一般的に、特に高収入の人、それから副業などで副収入がある方、共働きで夫婦で稼いでいる方はなんとなく楽天的な人が多いように思います。心のどこかで、「やればなんとかなる」「やる気になれば、いつでももっと稼げる」と考えているのです。