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※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【精神科医が教える】優しさが裏目に出る!?「大目に見る」ことが人間関係を壊す衝撃の真実Photo: Adobe Stock

見逃してはいけない
その寛容さが信頼を壊す第一歩になる

今日は「大目に見ることの責任」についてお話ししたいと思います。

人が過ちを犯したり、ちょっとした失敗をやらかしたときに、「今回は大目に見よう」とか「まあ、これくらいは許してあげよう」と思うことがありますよね。

自分も大人だし、小さなことで目くじらを立てるのはよくないと思って、ついそう判断してしまうこともあると思います。

しかし、大目に見るということは、相手に「それは許される行為だ」と教えてしまうことにもなるのです。

繰り返される失敗を許すたび
相手が学ばなくなる瞬間とは?

その後、もし相手が「あのときも大目に見てもらえたから、今回も大丈夫だろう」と思ってしまったら、その人との関係性や、その人自身の人間性に悪影響を及ぼすかもしれません。

相手は感謝こそするかもしれませんが、次に同じようなことが起きたときには「どうせ大目に見てもらえる」という以前の学習が働いて、繰り返しやらかしてしまう可能性が高いのです。

つまり、大目に見るということは、「相手の行為がルール違反や問題行動であるにもかかわらず、それを見逃す」という選択をしているわけです。

相手を甘やかす暗黙のメッセージ
大目に見ることで壊れる関係

そこには、「この先、同じようなことが起きても構いませんよ」という暗黙のメッセージが含まれているとも言えます。

だからこそ、大目に見るという行為には、責任がともなうということ。そして、再び自分が同じ実害を被る余地を残したということをしっかり認識する必要があるのです。

もし、本当は許せないのに「大目に見る」という選択をした場合、ある意味では相手や自分との関係を壊すリスクを許容してしまっていることになります。

許しても相手のためにならない
許すたびに壊れる信頼と止まる成長

もちろん、あえて大目に見ることで、関係がギスギスせずに済む場面もあるでしょう。

ただし、そこには「相手がそれをきっかけに成長できなくなるかもしれない」「繰り返し問題が起きるかもしれない」という危険性が隠れています。

大目に見るときには、その危険性をしっかり自覚し、責任を持って判断することが大切です。

許すだけではダメ
本当の優しさが相手を成長させる瞬間

優しさと思われがちな「大目に見る」という行為は、実は相手のためにも自分のためにもなっていない場合があるのです。

もし本当に相手のことを大切に思うのなら、きちんと指摘をするほうが、結果的にはその人のためになることもあります。

もちろん、そうすることで一時的に関係が悪化したり、相手との衝突が起こる可能性もありますが、それは「必要な衝突」かもしれません。

いい人のふりをやめるとき
大目に見るリスクと覚悟

どのみちダメになる関係であれば、そこで距離ができても仕方がないとも言えます。

要するに、大目に見るという選択をするなら、そのときに生じる責任やリスクも同時に受け入れなくてはなりません。

なんとなく「いい人のふり」をして大目に見ることは、相手を甘やかし、自分との関係をさらに悪化させる原因にもなるかもしれないのです。

本当に大目に見てもいいのかを、もう一度よく考えてから決断する姿勢が大切なのではないでしょうか。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。