石破首相より先にトランプ次期米大統領と面会した安倍昭恵さんに対して批判が出たが、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏は「とんでもない筋違い」だと指摘する。佐藤氏が入手した外務省で起きた全内幕とは?要人との人脈を作るために佐藤氏が行ったこととは?(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
「私人なのに、石破首相を差し置いて」
安倍昭恵さん批判は筋違い
二転三転した石破茂首相とトランプ次期米国大統領の面会が、2025年1月半ばの訪米で実現しそうだという報道がされています。もっとも私はそれが実現するかどうか、よくわかりません。個人的にはトランプ氏が大統領に就任した1月20日より後に日米首脳会談を行ったほうがいいと思います。
トランプ氏に会えば、いろいろな話が出てくるでしょうが、それが非公式な場での発言だと、大統領に就任した後、再調整しなくてはならないからです。事態を複雑にしないようにするためには、トランプ氏が正式に大統領に就任した後で首脳会談を行ったほうが日本の国益に適うと思います。
1月半ばの石破・トランプ会談に関する報道がなされるようになったきっかけは、安倍晋三・元首相の妻の昭恵さんが12月15日、トランプ氏と妻のメラニアさんにフロリダ州の自宅マー・アー・ラゴで面会したことです。
昭恵さん自身のX(旧ツイッター)によると、面会の経緯は〈大統領就任後はなかなかお会いすることもできないと思ったので、できれば一言お礼とお祝いを言うためにお会いしたいとお願いしたところ夕食会にお招きいただきました〉というもの。昭恵さんとメラニアさんは、双方の夫が総理と大統領の職から退いたあとも、連絡を取り合っていたようです。
ところがこの面会が報じられると、昭恵さんに対して「私人なのに、まだトランプ氏に会えていない石破首相を差し置いて」という批判が起こりました。とんでもない筋違いです。
私が外務省筋から聞いている話では、訪米前に昭恵さんから、安倍元首相の通訳をずっと担当していた職員に連絡があったとのこと。それは「外務省には黙って同行してもらえないか」という内容でした。昭恵さんとしては、プライベートな面会が大ごとになったら申し訳ないと考えたのかもしれません。