たとえば、「何を聞いてもらってもいい」としながら、突っ込んだ質問(回答)はないこと。結局裁判内容については語れないとしているものの、「物的証拠はなかった」という自分側が有利に見える情報のみ語っていること。そもそも記事が一問一答形式ではなく、一人語りの構成であること(一人語りの構成が悪いわけではないが、記者がどのような質問をしたのかが、これではわからない)。
これらは確かに中途半端な姿勢に見える。記者会見を開くことはせず、面識があるであろう芸能記者と1対1でのインタビューで、松本氏の機嫌を損ねるような、批判的な質問がなされたとは考えづらい。予定調和にすら見える。
ただ、もともとファンであった人が今回のインタビューで失望を覚えたとすれば、それは別の箇所にありそうだ。
素人でも「すぐに終わる」と思わない
提訴は見込みが甘かったのでは?
訴えを取り下げた理由について、松本氏は裁判が思っていた様子と違っていたからだと語っている。「簡単に言うと、もう少し早く決着がつくと思っていましたし、証明したいことがもっと早く形にできると思っていたんです」(インタビューより)。
そうして、裁判が続くことにより、リアルに収入が減ることに「純粋にプライドをへし折られました」と語っている。
率直な語りぶりではあるが、本人も「裁判に関しては僕が勉強不足」と言っている通り、想定が甘かったとしか思えない。民事訴訟には平均で1年〜1年半かかると言われるし、長い場合はもっとである。今回のように注目を集め、賠償額も大きな訴訟が、すぐに終わるとは素人でも思わない。
たとえすぐに終わると思っていたとしても、それは裁判前に弁護士などに確認しておくのが普通であろう。一歩間違えれば世間から信用を永遠に失う大事な局面だ。この見切り発車を止める人が周囲にいなかったというのも驚きだし、世間ズレしたものを感じる。