米連邦議会の民主・共和両党議員は先週、来年3月まで連邦政府の資金繰りを確保する「つなぎ予算案」で合意した。ドナルド・トランプ次期大統領の「政府効率化省(DOGE)」の共同トップを務めるイーロン・マスク氏は、1547ページに及ぶこの予算案の可決を断念するよう要求した。マスク氏はX(旧ツイッター)に「大きな変化か起きるか、米国が破産するかのどちらかだ」と書き込んだ。
議会が20日、スリム化した118ページのつなぎ予算案を可決すると、マスク氏は自身のフォロワーに向けて、「あなた方の行動によって、何ポンドもの重さの法案が何オンスかの重さの法案になった!」と投稿した。
しかし、スリムは安いと同義ではない。この予算案にはなお、災害救援への1000億ドル(約15兆8000億円)や農家向けの100億ドルという巨額の歳出が含まれている。これとは別に上院は先週、公共部門職員の一部を対象とする社会保障給付引き上げに超党派で合意した。この法案はわずか3ページの長さだが、それに伴う歳出は10年間で約2000億ドルに上る。
2024会計年度(23年10月~24年9月)は連邦政府の財政赤字が1兆8000億ドルと、国内総生産(GDP)の6.4%に達した。これは戦時中やリセッション(景気後退)期、緊急時を除けば過去最高だ。マスク氏とトランプ氏は、歳出削減によって赤字問題に取り組むと約束している。シンプルな最初の一手は、追加支出をやめさせることだろう。それにもかかわらず先週、両氏はどちらも議会の大盤振る舞いを阻まなかった。マスク氏は被災者や農家に対する歳出を支持する投稿をした。次期副大統領のJD・バンス上院議員(共和、オハイオ州)は、社会保障給付を拡大する法案の共同提出者だった。