イスラエルとウクライナ「2つの支援」で問われる米財政赤字拡大の“主因”Photo:The Washington Post/gettyimages

軍事支援予算成立の目途は不明
議長不在で3週間の審議空転

 イスラム組織ハマスのイスラエル襲撃を機にした中東情勢の緊迫化を受けて、バイデン大統領は10月19日の国民に向けた演説で、ハマスとウクライナ侵略を続けるロシアは、民主主義国家に対する「同種の脅威」だとして、議会にイスラエル支援とウクライナの追加支援の予算計上を求めることを表明した。

 翌20日には、インド太平洋地域の安全保障関連の支援や、メキシコ国境などでの移民対応費用などと合わせて、総額1000億ドル強の補正予算が提案されている。

 だが「ねじれ議会」で共和党が多数を占める下院では、2024年会計年度の予算審議の混乱から共和党内が分裂、マッカーシー議長の解任劇となり、3週間の審議空転を経てようやく25日になって4人目の候補のマイク・ジョンソン議員が後任議長に選ばれたところだ。

 辛うじて成立させた暫定予算も11月中旬までで、バイデン政権は予算成立のため党派間と党内の二重の対立で混乱する議会との調整にかなりのエネルギーを費やすことになりそうだ。

 バイデン政権は財政運営の閉塞状況を打開できるのかどうかは、国際政治や外交にも影響を及ぼす。

 だが、実は米国財政の本当のリスクは別のところにある。