そして、相手が社会的に葬り去られるという確信があれば、これまで沈黙を貫いていた被害者たちも声を上げる。「あの大物タレントに実は昔、酷い目に遭わされて今も心の傷になっています」と、米ハリウッドのワインスタイン事件のように、10年、20年と過去に遡って、大物芸能人、大物監督などの性加害が告発されるかもしれない。
 
 そんな「性加害・性暴力狩り」のムーブメントが来年大盛り上がりしていく材料がもうひとつある。年の瀬の日本を騒がしているタレント中居正広さんの「9000万円SEXスキャンダル」(「週刊文春」24年1月2日/9日号)だ。

 ご存じの方も多いだろうが、中居さんが芸能関係の20代女性と会食後に「トラブル」があったというもので、その示談金として9000万円が払われて解決済みとなっていた。しかし、改めて「週刊文春」がこの女性に直撃をしたところ「中居さんとフジテレビを許していない」と怒りをあらわにしたというのだ。

 実はこの2人の会食をセッティングをしたのはフジテレビの幹部社員で当初は3人で会食をするはずだった。しかし、この人が急遽参加できなくなったため、2人だけで会食をしてその後に「トラブル」があったという。この報道を受け、ネットやSNSでは「もともとこの女性に接待をさせるつもりだったのでは?」「旧ジャニーズの上納システムを連想させる」などの声も少なくない。

 しかも、この女性は「トラブル」後に長期で入院生活を送っていたと報道されている。文春直撃での発言や9000万円というあまり聞いたことのない示談金から、「よほどひどいことをしたのではないか」と性暴力疑惑が囁かれ、中居さんに対して「芸能界から追放すべき」という厳しい意見も増えている。

 そんな人気タレントへの制裁ムードが盛り上がっているの時を同じくして、NHKが国民的歌謡番組で「性加害疑惑に少しでも関係のある曲」の徹底排除に踏み切った。
 
 もし筆者が「性暴力根絶」を目標に活動をしている人間だったら、この大きなうねりを利用しない手はない。世界的に広がりを見せた「#metoo運動」のように社会運動を仕掛けていく。そして、その「主戦場」としてテレビ業界を狙い撃ちにするだろう。

 なぜかというと、つつけばいくらでもホコリが出てくるからだ。