食料品店でチーズ販売員として働くボブ・セガーズさん(25)は、ユタ州ソルトレークシティーで開かれたインディーズ音楽フェスティバルの会場内で、見知らぬ男性から電話番号を聞かれた。男性は「イエスに似ていると言われたことはあるか」と尋ねてきたという。これは口説き文句ではなく、その男性の妻は、宗教的なモデルを探しているアーティストだった。「あまりそんなふうに言われたことはなかった」。身長約196センチで、ブロンドの髪を肩まで伸ばし、アイルランドや北欧系の雰囲気を醸し出すひげをたくわえたセガーズさんはこう話す。「私だと、かなり背の高いイエスになる」こうしてセガーズさんは「救世主」としての副業を始めた。ユタ州ではイエスに似たモデルの需要が高まっている。州の人口が増えている上、彼らにとってイエスなしでは写真が完成しないからだ。家族写真や結婚発表写真を撮る際にイエス似の人物を起用している。モデルたちは、婚約したてのカップルと野原を歩いたり、ボンネビル・ソルトフラッツ(塩湖が干上がってできた平原)で幼い子どもたちと遊んだり、毎年恒例のクリスマスカード用の家族写真に加わったりしている。