先のフェラーリ買うたとかいう人らと別に、この「ぼん」らはそんなことに価値を求めていない。細い路地が多い街を走るんやったら、これで充分。走るんやったらちっこい車で充分、いや、その方がいいと言うんです。
それくらい、創業者、一代目でブイブイ言わしてる若い連中と、京都の「ぼん」連中は持ち味も価値観も相当違う。
そこで、この連中をごちゃ混ぜにしたら、ちょっとおもしろい化学反応が起こるかもしれんなと思って、そういう機会を作ったんですが、失敗しました。うまくいきませんでした。やっぱり、合わないんです。
合わない、というのは、こういうことです。
一代目でやってきた連中は、「お前らがへらへら学生やってる時に、俺らは歯を食いしばって頑張ってきたんや」という思いが強烈にある。「お前らに決して負けへん」と思っているわけです。
一方、「ぼん」連中は何も思っていない。何も意識してないから、「あの人らは言葉に圧がある」とか、果ては「こわい」とか言う。「こわいやろな」と思います。創業者、一代目の連中は、「いけいけ」「攻撃的」、英語で言うたら「アグレッシブ」ですからね。
「ぼん」連中は皆それなりに、同志社とか立命館、そこらへんの大学ぐらいは出ているわけで、下手したら大学院に行って、皆それなりのものを見て、聞いて、この商売を継いでいる。あんまり「アグレッシブ」やらの気持ちは持ったことのない連中です。
そんなこんなで、「ぼん」連中は何も意識してへんけど、一代目の連中はかなり意識している。こういうわけです。