日本製鉄によるUSスチール買収にジョー・バイデン米大統領が禁止命令を出したことを受け、両社は先週、同大統領と対米外国投資委員会(CFIUS)に対して訴訟を起こした。
われわれは、この禁止命令を軽視しているのではない。しかしCFIUSの審査は、適正手続きと公平性の面で最も基本的な要件を満たしていない。バイデン氏があらかじめ決められていた政治的目的を達成するために手続きをねじ曲げたとわれわれは考えている(提訴を受けてホワイトハウスは、バイデン氏の決定と審査過程について、国家安全保障と貿易の専門家らの判断に基づくものだと擁護した)。
バイデン氏が大統領再選を目指した選挙活動を展開する中で、全米鉄鋼労働組合(USW)は昨年2月、日本製鉄による買収に反対するUSWの立場への支持を同氏が約束したと発表した。バイデン氏がわれわれの経営統合への反対を表明したのはその翌月の3月、CFIUSが正式に審査を開始する前のことだった。それから間もなくして、同氏はUSWの支持を獲得した。
一方、CFIUSはわれわれとほとんど向き合わなかった。昨年9月にCFIUSから1通の書簡を受け取ったが、USW執行部の主張で埋め尽くされていた。その後、秋から冬にかけて、日本製鉄とUSスチールは懸念事項とされた問題に対処すべく、4回にわたり国家安全保障協定案を提出した。
そもそも、国家安全保障上の懸念があったとわれわれは思っていない。日本は米国の最も信頼できる同盟国の一つだ。CFIUSはバイデン氏に判断を委ねる前に、われわれの案について1通たりとも意見書や質問書を送ってこなかった。