アイボリーを基調とするインテリアは居心地がいい。丸形のメータークラスターや2スポークステアリングホイールなど初代600に由来する要素が散りばめられており、大きなロゴと鮮やかなステッチが入ったエコレザーを用いたシートもおしゃれだ。運転席はブランド初のアクティブランバーサポート機能(マッサージ機能)付き6WAYパワーシートを標準で装備する。

 また、車両の周囲3m以内に接近すると自動解錠し、1m遠ざかると自動施錠する、プロキシミティセンサー付きキーレスエントリーと、リアバンパー付近に足を入れると開くハンズフリーパワーリフトゲートの採用もともにフィアット初である。

 ラゲッジルーム容量は後席使用時で360Lと、けっこう広い。リアシートを倒すと最大で1231Lにもなる。広い後席に迎えるゲストのために、エアコン送風口がないのは少し残念に感じた。

取り回し性の良さとしなやかな乗り心地が魅力
パフォーマンスもなかなか力強い

 パワートレーンは、156psのモーターに54kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせており、一充電航続距離はアベンジャーよりも7km長い493kmを実現した。

 ドライブフィールは動きが素直で乗りやすい。ステアリングは軽く、ボディサイズが4200×1780×1595mmと適度なので取り回しがよく、狭い道でも臆することなく走れる。足回りはしなやかな設定。乗り心地の硬さを感じさせないところは好印象だ。

 動力性能はいまどきのBEVとしては控えめだが、実力としては十分以上。日常的に使う低速域はなかなか力強い。トルクステアが顔を出す場面もあるほどだ。

 車速が出ている状態からの再加速でのレスポンスは俊敏なのだが、アクセル開度が小さい状態から素早く踏み込むとタイムラグを感じるときがある点は少し気になった。おそらく急激な入力による機構的なダメージをできるだけ与えないようにという配慮と思われる。