「ジープなのにヨンクじゃないの?」
彼らが長年培ってきた叡知がそこにある
ジープ・アベンジャーはブランド初のBEVとして登場した。これまで“4×e”というネーミングでPHEVをレネゲードやラングラーにラインアップしてきたが、それとは違うカテゴリーとなる。しかも、モーターはフロントアクスルにだけ装着されるシングルタイプ、駆動方式はFWDとなる。よって、リアに付くエンブレムは“4×e”ではなく、“e”のみ。「ジープなのにヨンクじゃないの?」と思われる方もいるだろう。だが彼らの歴史を振り返ると、とくに珍しい話ではない。第2次世界大戦後のジープの民生化時では、ウィリスジープをベースにしたRWDのウィリス・ステーションワゴンを製造していた。1940年代から50年代にかけての話である。
アベンジャーの誕生にはステランティス・グループのスケールメリットが関係する。他ブランドのBEV用プラットフォームを借り受けて作られたからだ。最近リリースされたフィアット600eがそれ。使用するプラットフォームは“e-CMP2”と呼ばれる。これは“エレクトリック・コモン・モジュラー・プラットフォーム”を指す。“2”はその第2世代を意味する。第1世代の“e-CMP”は、プジョーe-208/e-2008が使用している。それを鑑みると実績があるぶん、信頼性は高く、運動性能も高いのがわかる。