オンラインカジノ規制と
コロナ禍で中国資本が撤退
ところが中国政府は、海外でのオンラインカジノによる中国からの資金流出を懸念したこと、オンラインカジノが中国国民を標的とした特殊詐欺の温床になっていたことから、カンボジア政府に取り締まりの強化を要請した。カンボジア政府はこれに応え、オンラインカジノのライセンス更新を停止するなどの措置を打ち出した結果、オンラインカジノに依存していた中国投資家が撤退し、開発の勢いが減速した。
ここにコロナ禍を発端とした中国の不況と不動産バブル崩壊が追い打ちをかけ、資金繰りが悪化した中国投資家や企業の撤退が相次ぎ、未完成のままの高層ビルやコンドミニアムが増えていった。シアヌークビル市内にはそのような廃虚ビルが、なんと400棟以上もあると言われている。さながらゴーストタウンの様相だ。
これらの廃虚ビルの一部には建築作業員とおぼしき人々が定住しているようで、筆者の肉眼でも洗濯物を干すなど生活している様子が見て取れた。通りを歩いていた人に聞いてみると、「以前は中国語で『俺らの金を返せ』と垂れ幕がかかっていたこともあった」という。