不動産含み益を多く抱える不動産リッチ企業は、業種別の割安度に大きな差があり、業種から投資銘柄を絞り込む手法が賢明といえる。特集『狙え!不動産リッチ企業』の#4では、時価総額に対する不動産含み益の比率が高い業種ランキングを作成。すると、割安感が顕著な業種が判明した。ランキング上位の業種は一体どこか。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔、永吉泰貴)
業種別の絞り込みで投資を効率化!
割安な業種に眠る超割安な銘柄
「日本は33業種もあり、外国人投資家にとっては業種が多過ぎる。そこで、彼らが銘柄選定の前に絞り込むのが業種だ」
岡三証券の内山大輔シニアストラテジストがこう話すように、日本株投資で効率的なアプローチを取る外国人投資家は、まず業種を絞ってから銘柄を選定しているという。
実は、業種によって特徴が大きく異なるのが、不動産含み益(賃貸等不動産の時価と簿価の差額)を多く抱える“不動産リッチ企業”だ。不動産含み益は有価証券報告書から算出できるが、内山氏は「国内の個人投資家の多くは、全銘柄の有報をくまなくチェックする手段がないはず。であれば、外国人投資家の手法をまねて、業種を絞り込んでから有報をチェックすべきだ」と助言する。
例えば、輸送用機器に分類される企業は、不動産含み益の対時価総額比率が2.6%。対して、陸運は同32.0%にも達する。陸運に属する企業は事業を運営する上で、不動産事業にも着手するケースが多いからだ。
中でも、鉄道事業者の京浜急行電鉄の賃貸等不動産の含み益は2435億円と巨額だ。PBR(株価純資産倍率)は1倍割れであり、業種別に見ればこのような銘柄も多く掘り起こせるわけだ。
次ページでは、賃貸等不動産の開示がある807社を対象に、業種別の時価総額に対する不動産含み益の割合を算出し、割安な不動産リッチ企業の多い業種ランキングを作成した。すると、不動産事業を手掛ける傾向のある陸運よりも、さらに不動産リッチな業種が三つもあることが判明。上位業種は一体どこか。