
PBRが低く割安な傾向にあるのが、不動産含み益を多く抱える不動産リッチ企業だ。実は、不動産含み益を反映した修正PBRを算出すると、見た目のPBRよりも割安であることが分かる。特集『狙え!不動産リッチ企業』#13では、倉庫・運輸業界の20社を対象に、不動産含み益を反映した修正PBRが低い上場企業ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)
倉庫・運輸業界の20社をランキング
修正PBRで分かった“格安銘柄”は?
PBR(株価純資産倍率)は、投資の際に割安度を測る指標として用いられる。PBRが低いほど、分母の純資産に対して分子の株価が低く評価されていることを示し、一般的に割安と判断される。
PBRが低く割安に放置されがちなのが、不動産含み益(賃貸等不動産の時価と簿価の差額)を多く抱える不動産リッチ企業だ。不動産含み益のある企業は、不動産含み益のない企業と比較してPBRやROE(自己資本利益率)が低い傾向にある(本特集#3『不動産含み益を反映した「修正PBR」が低い“割安”上場企業ランキング!2位にフジ・メディア・HD、1位は?』参照)。
また、不動産リッチ企業は見た目のPBR以上に割安とみるべきだろう。PBRの算出過程において、不動産含み益は反映されないからだ。足元では海外投資家の注目が賃貸等不動産に集まる中、不動産含み益を反映した修正PBRのチェックは不可欠だ。
そこで、岡三証券の内山大輔シニアストラテジストの計算式に沿って、実効税率30%課税後の不動産含み益を反映した修正PBRを算出。本稿では、倉庫・運輸業界の修正PBRが低い上場企業ランキングを作成した。
倉庫・運輸業界は、運送関連施設や倉庫のような不動産を多く保有しており、PBR1倍割れ企業が目立つ割安銘柄の多い業界だ。
近年では倉庫跡地を商業施設やオフィスビルなどに再開発する事例も見られ、祖業の物流事業に加えて、不動産開発事業を収益の柱にしている企業もある。
その一例が三菱倉庫だ。
東京、名古屋、大阪、神戸でオフィス賃貸や商業施設開発を手掛け、特に倉庫跡地を再開発して2006年に開業した複合商業施設「横浜ベイクォーター」は、不動産事業の看板物件となっている。同社の25年3月期第3四半期決算によると、不動産事業のセグメント利益は108.9億円で、これは物流事業の利益106.9億円よりも大きい。
不動産事業に取り組むのは三菱倉庫に限らず、他の倉庫・運輸企業も同様だ。そのため不動産の含み益を加味すれば、倉庫・運輸銘柄の修正PBRはさらに低下し、割安度が一層際立つことは明らかだ。
では、倉庫・運輸業界の20社の中で、修正PBRが低い割安な不動産リッチ企業はどこか。次ページで一挙に公開する。